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私が占いに興味持ったきっかけ

作者: 塩狸


私が占いに興味持ったきっかけは

なんてことなくて

仕事場のお局様が

仕事場のある向かいの1角で

お店を開いた占い師のおじさんに

「私は結婚できるか」

って聞いたら

「あなたは人を見下す癖があるから難しい」

と言われたって

もうキーキー怒ってて

「え、凄い当たってるじゃん」

って思ったことがきっかけ

そう思ったのは私だけじゃなくてね

その噂が広まって

しばらくは占い師さんの前にはうちの会社の人が並んでた

今もボチボチとお客さんがコンスタントに並んでるの見掛ける

私?

並んだ並んだ

「年上の女の人に嫌われるタイプだねぇ」

って

無茶苦茶心当たりあるから

「どうしたらいいですか?」

って聞いたら

「そういう星の元に生まれたってことで諦めましょうかね」

だって

アドバイスないのかい

いっそ清々しいな

「嫁姑問題からは逃げられないってことかぁ」

と溜め息吐いたら

「もういない人を探せばいいんですよ」

って

簡単に言うな

そのおじさんは

「その人の本質は見えやすいけど未来は見えにくい」

「相性もあるから」

と言うため

ネットや知り合いを通して探して聞いて

それっぽい占い師さん探しては

たまには

「なんじゃこいつ」

みたいな人に当たりつつも

たまたま暇してる妹と行ってみた時ね

妹がさ

「お嬢さんにはそもそもの男運がないね

けど

お嬢さん自身も頭と股が緩い

信頼してる人の

そうだね

ご両親はしっかりしてるから

ご両親に頼んで見繕って貰って

大人しく見合いでもした方がいい」

って占われた上でアドバイスされてた

妹は激怒してたけど

当たりすぎてて大笑いしたら

とばっちりで八つ当たりされた

人は本当のこと言われると怒るもんだよね

私は

「無駄遣いに注意」

だってさ

いやはや

占い楽しくてついね


ネットで知り合った

自称占いマニアの子とね

占いを予約して行ったりもしたよ

その子はさ

彼氏ができる時期を聞いてたんだけど

こう

なんと言うか

人に対する距離感がよくいえばフレンドリーで

占い師さんに対しても敬語使わずに

「ふーん、へー」

「それでそれで?」

とか答えてた

それで結果は

どうやら大当たりだったんだけど

その子が

また占ってもらおうって予約しようとしたら

「あなたは初対面の人間に対して敬語の1つも使わない

他人に対しての敬意と礼儀がなさすぎる

あまりにも非常識で不愉快」

って

そんな理由で2回目の予約を断られたと聞いて

「そんな理由で断ることもあるんだ!?」

ってそこにびっくりした

礼儀礼節大事


あとはそうだな

印象に残ってるのは

予約してた占いの館の個室に入ったら

「あれぇ?2人だっけぇ?」

って言われた時

ちなみに手相占いだから

そういう

「はったり」

で箔を付けるタイプの占いでもなくてね

占い師のお姉さんは

「んーちょっと待ってねぇ」

ってスマホ取り出したと思ったら

「取り憑いた霊の払い方」

とか調べ始めてくれて申し訳なくなった

取り憑いてる人の特徴をお姉さんに聞いたけど

全然心当たりなくて

多分

来る途中に憑いてきちゃった野良の霊じゃないかって結論で

取り憑いた何かは無視して手相占いしてもらった

それで

「ランチ行くから駅まで送るよぉ」

ってお姉さんと商店街歩いて駅前着いたら

「あー、落ちた落ちた」

って肩のフケ落ちたみたいに言われた

手相占いの結果は

「お姉ちゃんなのに妹気質ですねぇ」

って

「そうなのか?」

って

どれもこれも解るような

そうでないような答えばかりだった


そんな

そう

楽しいことがあったりなかったりしてると

興味出てくるでしょ

自分も占いしてみたいなって

ははっ

私は単純だからね

次に視て貰った人に

聞いてみたんだ

占い師になったきっかけを


「私ですか?

自殺未遂してからなんですよ

ええと電波

じゃなくて周波数的なものでしょうか

自殺して

死に損ねて目が覚めてからです

絶えず

はい

四六時中

絶えず人でないものが視えるようになってしまって

初めは

『病院だからかなぁ』

なんて思ってたんですけど

退院して外に出てからも、うじゃうじゃしてましたね

至る所に

あぁでも

自殺未遂しておかしなものと周波数を合わせる方法は

積極的にはおすすめ出来ませんね

そのまま死んじゃう可能性も高いですから


たまに1人で食事なんか行くと

お店に入っても気づいてもらえないんです

ふわっと霊感ある人なんかには

『生きてる人ではない』

って思われてそのままスルーされたりして

『あの、1人です、煙草は吸いません』

って、声かけて

『え?あら、いらっしゃいませ』

って初めて生きてる人間として認識されたり

そうなんです

半分は

もう死んでるんでしょうね

心も身体も


話が逸れましたね

なので

こんな風に死に損なった私のところには

幸せな未来を視て欲しい人は来ることはありません

悪霊 生き霊 色情霊 恨み妬み 二股三股 水子に魑魅魍魎などの人ならざるものたちが

ここにやってきた方に

「何が取り憑いているのか」

を視てから

しかるべき場所へ

お祓いやカウンセリングですね

そういう所にご紹介するまでが私の仕事です


ふふ

面白いんですよ

お客様のうち

半分くらいの人が

『これだけのことでお金とるのか』

って暗に支払いを渋るんです

だから

『じゃあ紹介した場所のメモをお返しください』

って言うと黙るんです

えぇ

皆様

人に対しての

自分がしでかしたことへの

「対価」

に対しての認識が甘過ぎるんです

えぇ

だからこそ

そんな人間だからこそ

私のような人間の元へ来るんでしょうけれど


あぁ

いえいえ

今お支払を促してるわけじゃありませんよ

あとで大丈夫です

たまにですけど

物凄く怒って帰ってしまわれたり

なんなら

怒ったふりをして支払いをせずに帰ってしまうお客様もいますね

え?

そんなお客様にはそれなりの応報があるのか?

どうでしょう

それがあるかは

私には分かりません

そう言ったものは全く視えないので

ただ

そんな方とは

"対話を経ての金銭のやり取り"

と言う非常に大事な繋がりを

"持てなくてよかった"

そう思うだけです

ここはもう「ご縁」のお話になってきてしまいますが


そうでした

一度だけありました

切羽詰まった様にやってきたお客様

一度目は椅子を蹴飛ばして出て行ったお客様でしたね

『前回の分と合わせてお金を払うので、今の自分に必要な場所を紹介して欲しい』

と再び現れた方はその方のみ

……えぇ

ご想像通り

もう手遅れでしたけど」



そんな話を

さらりとしてくれた占い師さんのお陰で

私の

「占いや占い師の勉強してみようかなー」

なんて

軽く浅はかな気持ちは

すぐに吹き飛んだ


そもそも

私がこの占い師さんの所へ来たのは

悪霊とか生き霊とか水子とか

私がそういうものに悩んでいるわけでは決してなく

「結構予約とるのが難しい占い師さんの予約とれたんだけど、私、行く必要なくなったんだよ。あんた、最近占いに興味あるとか言ってたでしょ?代わりに行ってみる?」

って友人が予約の枠を譲ってくれたから

ちなみに友人の悩みは

「同居してる義父からのセクハラが酷い」

それだけなら占いではなく家族間の問題だけど

「いないはずの会社の鏡とかにも義父が写るようになった」

だった

「それ生き霊なんじゃないか」

って

その鏡越しにも生き霊的な者が視えたと言う会社の知り合いに紹介されて

視て貰える人に予約を取った矢先

友人の義父は

「早朝のトイレで死んでた」

病死だったと

それでセクハラは勿論

生き霊も視えなくなり

死んでからも義父に付き(憑き?)まとわれることは今のところないからと

そんな経緯で

代わりに私が今

この占い師さんの前にいるのだけれど


占い師さん曰く

私には

やっぱり

今のところは悪霊生き霊などの厄介なものは憑いていないから

しかるべき場所への紹介も必要ないと占い師さんのお墨付きを貰った

本当は

最近

ネットでも自分の足でも

色んな場所へ行ってるから

ちょっとドキドキしてたから

正直安心した


そんな私は

予約した占い師さんの所へ行く時は

私の勝手な拘りで

必ず手土産を持っていくことにしてる

勿論相手の好みあるし

人によってはいらないって言われるし

渡すのも様子見つつね

渡すのは大概

私の住んでる地元の銘菓

おいしいんだよ

それで

その自殺未遂から生還した占い師さんにも

お金の支払いがてら手土産を渡したら

「わぁ、いいんですか?」

って喜んでくれた

なんか

その「わぁ」が占い師さんの「素」な感じがして

それを見られてちょっと嬉しかった

その目の前の占い師さんは

お菓子の箱を持ってさ

「最後にもう1つ何か」

って私を見つめてきた

どうやら占い師さん的に

「お菓子の対価」

をくれるらしい

私は

「視える以外に、他の占いをしたりはしないんですか?」

とね

純粋な疑問で聞いてみた


占い師さんは

「勉強してますよ、今も」

とあっさり頷いてから

「私は数字と凄く相性がよくて

数字の歴史とかの勉強もしてたんですけど」

ですけど?

「やっぱりダメなんですね」

ダメとは


「私が数字で的確に占えるのは、占った相手の死ぬ日付だけでした」


なんとも

ままならないと言うべきか

むしろ必然と言うべきか


建物の外まで見送ってくれた占い師さんは

私が曲がり角に消えるまで見送ってくれた

そして

角を曲がる直前に振り返って見た占い師さんの

その細い身体は

「……」

(あぁ……)

私にも

ほんの少しだけ

透き通って

見えた


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