第七話 本当の自分
放課後。
「きりーつ、きおつけー、れーい」
『さよーなら』
心なしか間延びしているクラスメートの声を聞きながら、
宮都はすぐに後ろを向いた。
「か~ん~な~・・・。」
「い、いや、落ち着いて?
宮都ちゃん、目が怖くなってるよ?」
誰のせいだ、誰の。
しかし、教室内のため、残念ながら小声で話す。
あぁ、ほんとに残念だ。帰り道だったらとっくに必殺技をしてやるのに・・・。
「あ、あのなぁ。宮都、今怖いこと考えてないか?」
どこかひきつっている拓の顔を見ながら、あたしはにっこりと微笑んだ。
うん、恐ろしいほどにっこりと。
ふたりが青ざめてブルブルと震えている。いい気味だ。
「罰として、一週間は宿題をみせない!これでチャラにしたげるよ?」
二人の成績は悪い。テストじゃ、後ろから絶対に十番目以内に入ってる。
なんとかセーフなのは、提出物を(あたしのを写して)ちゃんとだしているからだ。
いつもは見せてあげるけど、今日くらいはいいだろう。
・・・絶望しきった顔でこっちをみてるけど。
それはともかく、なぜあんなことを言い出したのか。
普段の神奈はあたしが嫌がることはしないのに。
「神奈はあたしが図書委員が良かったこと、しってるくせに・・・。
なんであんなこといったの?」
すると。
「だって、宮都は結構引っ込み思案じゃない。みんなそんなこと知らないし。
むしろ、黙ってるから冷たいって思われてるかもしんないけど。
でも、宮都がいい娘だって私はわかってるから。
もっと人と関わったら、友達できるよ!
わたしが保証する!」
神奈のその答えに、少しだけ。少しだけだけど、頬が緩んでしまった。
こんな娘だから、あたしは神奈と友達になったのかもしれない。
・・・本当に、ありがと。
絶対に神奈にはいわないけど。
神奈のおかげで、あたしは救われたんだから。
「もう、しょうがないなぁ。今回だけだよ?ゆるすのは。
っていうか、もうみんないないし。早くかえろっ!」
なんとなく、声が弾む。
「そだね。・・・あ、ごめん。今日、私日直だったっけ。
先行っといてくれる?」
「わかった。ゲタ箱のとこで待っとく。」
そうして、あたしは階段をおりていった。
その後、神奈と拓がなにか話していたとは知らずに。
結構みてくださるひと、おおいですね!
でも、感想がないよう・・・(涙)