第六話 他人の中の自分
しょうがなく、あたしはつまらない授業を受け始めた。
ラッキーなのは、教室の後ろの方であることぐらいだ。
・・・まぁ、新学期の初日なので委員決めぐらいしかしないが。
基本、学校の中では優等生キャラでいるので、授業中は本を読めないのだ。
(つまんない・・・・。)
隣にいるバカ拓は、もともと真面目な性なので、暇つぶしにもならない。
はぁ、と本日10回目ぐらいのため息をついていると。
いつのまにか話は進んでいたらしい。
「学級委員になってくれる人はいませんか~?」
いませんっっ!
心の中でツッコむ。皆も絶対同じ気持ちだっただろう。
そのときは他人事だと思っていたのだが。
・・・神は無情だった。
「日下部さんがいいと思いま~す!」
えぇぇぇぇ。関係ありありかい?
おい、誰だ。あたしの名前を言ったヤツは・・・。
しかもビックリマークつきで。
そぉっと後ろをみると。
それは。
神奈だったっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!
あたしにうらみでもあんのか、コラ!
放課後には、絶対シメてやるうぅぅ・・・・。
しかし、今は何も言えない。
だが。誰か、反対して!という思いは届かず。
あろうことか、賛成の雰囲気になっている。
「日下部さんって、学年トップだったよね?」
「頭いいし、いいんじゃない?」
「日下部さん。学級委員、引き受けてくれる?」
先生があたしに確認するが。
いや・・・・拒否権ないでしょ、これ。
心では神奈のワラ人形につまようじをさしていたけれど。
「はい、がんばります。」
あぁぁぁぁぁ。日本人の性って悲しい。
表面上はなんとか笑顔でいたけどさっ!
他人のなかでは、あれだ。
頭いい=優等生、ってわけで。
さらに優等生=なんでもできるになるわけで。
それは、偏見だ。
周りよりちょっと成績がいいだけで、なんでもできるわけじゃないのだ。
みんなはいいだろう。
頭がいい、なんていっといて、厄介ごとをおしつけるだけなのだから。
本当の自分のことを知る人なんて、だれもいないのかもしれない。
読んでくれているひと、ありがとうございます!