第四話 本への執念
無事、学校にまにあった宮都は、新しい席についていた。
「おっはよ~!」
「おはよ。」
朝っぱらからテンションの高い親友、谷原 神奈に短くかえす。
「また、席近くだよね!」
「これを腐れ縁というのだ!!!」
さらに、すぐ隣から能天気な声が入ってきた。
(忘れてた・・・。)
このバカ、高月 拓も腐れ縁だったのだ。
「あ、拓もいたんだ。」
「俺の存在忘れてたの!?」
「うん。よく忘れるよ?」
「私も~。」
拓はず~んと落ち込んでいた。
「なんで?俺の存在価値なし?席となりなのに・・・。」
なにやらブツブツといっているが、そこはあたしも神奈もきにしない。
「まぁ、小学校からここまで席一緒って。ある意味奇跡だよね?」
そう。三人とも、小学校からずっと席が同じ、クラスが同じ、学校が同じ。
今年も例外ではなかったらしい。
ふと、神奈が話しかけてくる。
「そういや、今日は本もってないけど。どうしたの?」
「いや、寝坊しちゃって。けど、ちゃんと持ってきたよ~!」
あたしは、にっこりと笑ってかばんから本を取り出した。
「相変わらず、本への執念はすごいのね・・・・。」
「川におぼれかけても本だけは放さなかったもんな。」
立ち直ったらしい拓も会話に参加してきた。
「失敬な。本はマイハートだよ!命だよ!」
「相変わらず、本に関わるとキャラおかしくなるんだな・・・。」
二人に生暖かい目で見られたような気がする。
『キーンコーンカーンコーン』
そんなくだらない話をしている内に、チャイムがなった。
ちっ。本が読めなかった・・・。
まだトリップしてない!
ど、どうしましょう?
もうすぐ急展開になる!・・・はずです。たぶん。