第三話 向こうでは2
とぼとぼと部屋に戻ったヴァルは、ぽふんっとベッドの上で跳ねていた。
「あ~あ・・・。つまんないっ!」
(そりゃ、忙しいのはわかるけどさぁ・・・。)
なんといっても。
三人とも、このフェルベーナ王国の王子なのだ。
様々な仕事で弟をかまう時間はないのだろう。
かくゆうヴァルも、第四王子であるが。
10歳以上でなければ国政に関わることはないのだ。
「つまんないなぁ・・・。」
もう一度つぶやくと、近くにある本棚の中から、
ろくに題名も見ずに一冊の本をとりだした。
ベッドに寝そべったまま、パラパラと中身をみていると。
ふと、ヴァルの手がとまった。
「召喚魔法?」
(なんか、面白そうっ!)
吸い寄せられるように夢中でそのページを読んでいく。
そして。
読み終わったヴァルの瞳は、キラリと輝いていた。
「これなら、僕でもできるよね?」
ふんふんと機嫌よく鼻歌を歌いながら、ヴァルは部屋を出て行く。
そこに兄達がいたらすかさず止めていただろうが、
あいにくそこには誰もいない。
後で、ラディル達は激しく後悔することとなる。
まだ9歳のくせに、無駄に魔力が多いアイツを一人にしたのかと。
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