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第二十話 少女とリヴィル2

「えっとな。ここがこの塔の上の中ぐらいだ。本ばっかなのは、

 あいつが・・・っておい。ミ、ミヤト?聞いてるか?」


後ろで困惑気味に聞こえてくるリヴィの声も耳に入らず、ふうっと書棚に引き寄せられていく。

ああ、本だっ。今日半日読めなかったことを我慢したご褒美!?

なんと、転移をした先は、書庫だったらしい。ものすごい量の貯蔵数らしく、

本がところ狭しとおかれている。

しかし、かろうじてステンドグラスからこぼれる光で、なんとか陰気な雰囲気にはなっていない。

もう、宝の山だ。財宝ザックザクだ。

今ならラヴィルのことも忘れられるよ!ものすごい勢いで、リヴィに振り向く。


「もう少しここにいても構わないか!?」

 

「お、おう・・・。」


完全にあたしの勢いに飲まれたらしく、かくかくと首を縦に振るリヴィ。

しかし、その返事が聞こえたときにはもう近くの棚から本を数冊抜き出し、椅子に腰掛けていた。

紙の手触りからして、相当古い本だということが伺える。

文字が読めないかもしれないと不安になったが、会話は通じていることからして異世界オプションで読めるだろう。一ページ目をみると、自分には間違いなく日本語に見えた。

思わず緩む頬をもはや隠すことなく、夢中になって文字を追う。

あっけにとられたような顔でこちらを凝視しているリヴィは、もう視界には入っていなかった。

あっというまに一冊目の本を読み終えると、顔を輝かせて次の本に取りかかる。

たぶん血色がよくなっているだろう顔で、また読み終えていく。

どこのサプリメント会社もびっくりの、驚きの美肌効果。


「な、なあミヤト・・・。」


あれ、なんか聞こえた気がする。なんだろう。ま、いっか。


「おい、無視すんなよっ!」


ああ、これもいいなあ。それにしても、虫でも飛んでいるのだろうか。


「聞こえてないのか!?」


まだ飛んでいる。無造作に手をあげる。


「あ、やっと気づい―――――」


ぶんぶんと手を払う。うるさいなあ。おやつの時間とも言えるこんなときに飛んでくるなんて。


「ひどっっっっっっっっっっ!?気づいてんだろ!?絶対お前、気づいてるだろ!」


まだいるのか。しょうがない、放置しよう。さ、次の本。


「え、何。無視?無視されてんのか、オレ?」


・・・・・・。


「いやいやいや。ここまでしてリアクションなし!?ガン無視!?」


・・・今時の虫ってしゃべるのかなあ。ずいぶん現代的な虫だ。


「・・・そろそろ寂しいんだが。こう、虚しくならないか?」


・・・・・・・・・・・・・。


「・・・はしっこに行きゃいいんだろ、行きゃあっ。」



ふう。終わった終わった!やっぱ本はいいねえ。よし、次の本を取りに―――――――。

ん?なんか、部屋の隅でリヴィがいじけてる雰囲気をかもし出しているんだけど。


「どうしたのだ、リヴィ。何かあったのか?」


「いや。別に、なんにもないさ。けど、なんだかなあ。・・・なんだかなあ。」


どこか既視感のあるセリフだった。

慰めるために、雑談をしてあげることにする。


「そ、そういやさっき、虫が入り込んでおったぞ?」


「・・・虫?」


お。いい感じだ。このまま続けよう。



「ああ。ずいぶん進化した虫のようだったな。なにせ―――」



「なんだっ?」


よし、あともう一息!

















「人間の言葉を話しておったからな!」
























「オレか―――――――――――――――――――――――――――――っっっ!?」
















「へ?」





意味がわからず返答に困っていると、リヴィは再び・・・いや、さっきよりもひどく落ち込んでいた。

頭に棒線が数本見えている気までしてくる。


「はは、いいんだ。別に、いいんだ、うん・・・。」


「・・・・・・・。」


これ以上なにかいうと、よくわからないが落ち込ませるだけな気がしたので、

本選びに専念することにした。しかし、なんであんなに落ち込んでたんだろ?謎だ。


かわいそうに、リヴィ。

ミヤトの無意識ってひどいですね・・・。

ま、まあ、次はふたりとも見せ場があるはず。

・・・・かも?


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