第二話 向こうでは
とある場所。日本から遠く遠く離れた世界。
とある城の中、小さな少年がいた。
・・・三人の兄がいる、とある執務室のなかに。
「ラディにーさま、遊んで~っ!」
「ごめん、今忙しいから。他の人と遊んでくれるかな?」
ラディルの返事に、ヴァルはぷくっと頬をふくらませた。
しかし、すかさず通りかかったリヴィルに声をかける。
「リヴィにーさま、遊んで?」
「あほか、お前は。仕事してんの見りゃわかるだろ?俺の弟には気遣いの欠片もないのか・・・。」
外に出てぇ、と呟きながら退屈そうに紙の束を見やるリヴィル。
グサグサッ!!!!!
ヴァルは1000以上のダメージを受けた!
しかし、こりずに次の人物に声をかける。
「エヴィにーさま、遊んで「嫌だ。」・・・・ですよねー。」
はぁ、とため息をつきながら、ヴァルは肩を落とした。
そんなヴァルの方に目を向けて、仕方ないというようにリヴィルが声を掛ける。
「大体、侍女だっているんだから。
そっちに遊んでもらえばいいだろ?」
「だって、みんな遊んでくれないんだもん!」
「・・・ちなみに、どんな遊びをしようと誘ったんだ?」
「え?たいしたことじゃないよ~。
ただ、空を飛ぼうとか、火の玉で火の玉合戦しようとか、そのくらいだよ?」
『たいしたことだっっっっっ!』
リヴィルとラディルの剣幕に、少したじろぎながらヴァルは抗議した。
「い、いや、冗談だよ。うん、冗談。断られたしね。
なんかすごい勢いで逃げられそうになったから、ちゃんと違うことしようと
思ったんだよ?だから、魔法合戦しよ~っていったんだけど・・・。」
「・・・・・・。」
二人はただただ無言であった。
今まで黙々と働いていたエヴィルがぼそりとつぶやく。
「・・・逃げられただろ。」
「うん。・・・なんでだろ?魔法合戦っていったとたん、
みんないなくなっちゃって・・・。」
『あたりまえだっっっっっっっ!!!!!!!!』
仕事をする手を止めて、三人が叫んだ。
「とにかく、ヴァルは自分の部屋に戻ってくれ・・・。」
とラディル。
「仕事がはかどらないですから。とっとと出てってください・・・。」
とリヴィル。
「邪魔・・・。」
とエヴィル。
三人の攻撃をうけ、ヴァルは倒れた!
とぼとぼと、執務室をでていくヴァル。
彼がいなくなったあと、その部屋のなかではため息が充満していたとさ。
もう見てくれてる人がいるんですねっ!!!!!!
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