第十九話 少女とリヴィル1
更新しました~。申し訳ありません。しかし、300ptになっていたことに頬が緩みます!ふふ。・・・ふふふふふふふ。
「では、一旦休む場所を与えよう。」
偉そうとしか言えない態度で、ラディル様は言い放った。
・・・何様だこいつ。あ、王子様か。
でも、もうみんな様なしでいいよね。うん、様なんて付けたくないし。
そう決意してもまだムカつくので、170は超えているであろうラディルを睨み上げた。
しかし、なんかサラッと流される。
「兄上。では、どこにミヤトを連れて行くのですか?」
エヴィルが、静かな調子で問う。
「そうだな。私の所は――――」
「翌日に建物が消えてないといいがな。」
横から口を挟んでやる。ラディルには睨まれたけど、口のはしを上げて答えてやった。
こんなヤツのところなんてお断りですから!
『今から消しましょうか?』
水色少年が問いかけて―――――――って、ダメだから!
ほんとにやっちゃ駄目だって!
人畜無害な顔でなにいってんの!?
必死な思いが伝わったらしく、残念そうにため息をついて諦めてくれた。
「では、俺の塔にしましょうか?」
エヴィルの申し出に、たいへん不本意そうな顔でラディルが答えた。
「・・・では、そうしよう。案内は―――――リヴィルでいいか?」
先程の質問に答えてくれた皇子―――――――リヴィルが、勢い良く頷く。
「分かった!」
「ああ、それと。ミヤト、くれぐれも、余計なことはしないように。」
ラディルの目が野生動物ならライオンでも殺しそうな目つきになっている。
こ、怖えぇ。うん、余計なことはしない方が身のためだ。
一応、おとなしく頷いておく。
「了解した。」
「じゃ、ついてきなっ。」
あっけらかんとそういうと、ずんずんリヴィルは歩き出した。
いや、いくらなんでも無防備すぎない?
宮都は、小走りでリヴィルに追いついた。
呆れた顔で、これまた悔しくも背の高いリヴィルを見上げる。
「仮にもあまり信用されてない者に、背中を見せてもいいのか?」
すると、ニカッと笑ってリヴィルが答えた。
「ん?お前がそう言ってる時点で敵じゃあないだろ。
それに、俺ならお前ぐらいのやつには不意でも反応できるしな。」
そのまま、ポンポンと頭をなでられる。
・・・むう。確かに護身術ぐらいしか経験はないけどさぁ。
なにも、子供扱いしなくても。
「・・・ちなみに、リヴィルは我を何歳ぐらいだと思っているのだ。」
睨み上げてみれば、きょとんとした瞳で見られた。
「え。ヴァルぐらいだろ?」
「ヴァルは何歳だ?」
「・・・9歳だけど。」
うわぁ、やったぁ。サバ読む必要ないなぁ。あら若く見られて嫌だわ――――って違げぇよ!
全然嬉しくねぇよ!
「我はじゅ――――」
抗議しようとして、慌てて言葉を切る。
「じゅ――――――う、三歳だ。」
うん。妥当だろう。年齢、上過ぎたら警戒されるもんな。
うん、そうだよな。そうだ・・・けど。・・・そうなんだけ、ど。
なんか悔しい!そして妙にグサッと来る!
そんな気も知らず、のんきにリヴィルが笑う。
「はは。まだまだガキだなぁ。それに、リヴィでいいからな!」
背筋がむずがゆくなったが、なんとか耐える。
・・・サバを読んだひとってこんな思いをしたんだろーな。
「あ、ああ。」
会話が途切れ、改めて景色を堪能する。
柔らかな緑色に茂る草や、伸びやかに枝を広げる樹々。
その全てが丁寧に手入れされており、それでいて自然な風景となっている。
城壁は、やっぱり魔法でコーティングでもしたのか、汚れ一つない。
端の方にある井戸らしきものの周りで、賑やかに会話を繰り広げている人たちもいる。
精霊も穏やかにふわふわと浮いていた。
きっと、この国は平和なんだろうな。
「お。あれだ、あれだ。」
そうこうするうちに、エヴィルの持っている塔という所の前に来ていた。
・・・正直、すごい。
こんなんを階段で登ったら、頂上につくのに1日は掛かりそうだ。
「これ、登るのか?」
「いや。あそこまで行くのには、転移するんだ。
御丁寧にもともと階段はあったんだが、あいつが外させてな。
それを見て、他の塔も真似するようになったんだよ。」
きっと、階段が邪魔だったんだろう。
あのひと、クールっぽそうだからね。
「この場合、どこに案内すればいいんだ? いや、一応客人だしいいよな、上使っても・・・。」
リヴィが何かぶつぶつと呟いている。
「・・・・? どうした?」
「あ、いや。なんでもない。じゃ、150階に行くぞっ。」
すると、また精霊が力を貸してくれたのか、ふわりと軽く浮くと、また違う景色になっていた。
・・・ていうか、何階まであるんだ、ここ。
250階まであります。