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第十八話 検査にならない検査。

第十七話、4月16日に付け足しいたしました。

これからもこの物語にお付き合いしていただければ幸いです。

感想大歓迎です!

「では、転移を行う。」


未だ不機嫌をそのまま表したような声で、第一皇子様――――ラディル様・・・・かな?が

そう告げると、突然姿を消した。どうやら城に向かったらしい。

ヴァルも名残惜しそうにあたしのズボンを離すと、ふっと姿を消した。

他の皇子様たちも、その一秒後にはいなくなり、一人残される。

あれか。皆は幽霊か?


・・・って。


(・・・え。えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?何、今の!)


考えるなら、やっぱり、魔法ってやつですよね?

今なら死んでも未練はないかも。

半ば本気でそう思ってしまった。

すると、水色少年がポワポワと目の前に飛んできた。


『姫様も行きますよっ。馬鹿な事を考えないでください・・・。』


がーんっ。出会ってから一時間もたってないのにバカよばわりされた!

まあ、そううかうかと死ぬつもりはないけどね。

つうか、勝手に人の心を覗くなっ!


『ま、まあまあ。ほら、つきましたよ~!』


いや、文句まだ言い終わってないんだけど。

ふわりと宙を浮く感じがしたかと思うと、次の瞬間にはあの立派なお城の前に立っていた。


「うわぁ・・・。」


思わずキョロキョロと周りを見渡す。す、すげぇ!でかい!とにかくでかい!鎧とかある!

――――――――って、だめじゃんあたし・・・。

演技すること忘れてました、はい。

本来のキャラを忘れてミーハーになってました。

気を取り直し、改めてお城を観察するあたしを、微笑ましそうに精霊がみてらっしゃる。

・・・いや、その子供を見るような目、結構きついっす。勘弁してください。

なんか誤魔化された気がするけど、すでにあたしの興味はお城に移っていた。

真っ白に塗り立てられた城は、どことなく圧力をかけられているような気になる。

青い屋根は、地球には存在しない色で、海のように淡く煌めいていた。

一番真ん中の塔には、赤と白の線が複雑に結われた荘厳な旗がはためかされている。

結構高校の中では長身だったあたしが見上げなければいけないほどの、無骨で分厚い壁。

門らしきところの両側には、少し凝った雰囲気の服を身に纏った男の人が立っていた。

なんかもう、例えるならあれしかない。





そう、ド◯クエの城だよ!






やっぱファンタジーの極みだ、ドラ◯エ。

ただ、想像と違うのは、城の周りに露店がいっぱいあること。

花なども売っていて、時々舞う花びらと戯れる子どもたちが心を和ませる。

もうちょっと閑散としたイメージだったんだけどなぁ。

こんなに賑やかで楽しそうなら、王様は悪い人ではないのかもしれない。

ラディル様は、正直ムカつくけど。将来のこの国が心配だ。

ぼうっとそう思っていると、門の内側から声がした。



「ミヤト、ここの門を通れ。」



みると、皇子様達が門の内側に立っていた。

あ、そうか。いきなり皇子様が門の前に現れたら驚くもんね。

心なしか、ヴァルが心配そうにこちらを見ている。

・・・なんでだ?なんかあるのか?

意味がわからず、ついチラリといつの間にか側に居た水色少年をみる。

けれど、少年はニッコリと微笑むだけだった。

とりあえず、危険はなさそうなので言われた通り前へ進む。

門との距離が縮まっていく。





あと10㎝。9、8、7。







ヴァルたちの顔が近づいてくる。





6、5、4。




緊迫した雰囲気の中、門へと足を進める。




3、2、1。







足を踏み入れ――――――――。






0。





門を、通り抜けた。






・・・いや、なんにも起こんないんだけど。

ヴァルがぱあっと顔をほころばせてあたしに抱きついてくる。



ぐふっっっ!


勢い良く体当りされました。

いや、それ、ちょっとキツイ・・・。

まあ、可愛いからよしとしよう。

対照的に、ラヴェル様はますます不機嫌そうに顔をしかめた。




「お前、ほんとに悪魔ではなかったのか・・・。」





お~。きょーつー認識ですね、悪魔。黒い髪=悪魔なんですね。

すると、ぎゅっとあたしをだきしめて、得意げにヴァルが言い返した。

・・・いや、だから苦しいよっっ。




「僕はミヤトが消されるハズないと思ってたもん!」



え。いやいやいやいや。・・・いぃやいやいやいや。

なんか、今ちょおっと不穏な言葉を聞いた気がするんですけど。




「消される・・・とは?」



ニッコリと笑って、ヴァルが答えた。



「ここを悪い人が通ると、どこかに消えて、二度とここにはこない魔法がかけてあるんだって!」



いや、そんな明るい顔でいわれても。

・・・ええー。あたし、そんなとこ通らされたの!?

怖いよ!そりゃあ良い国になるはずだよ!

水色少年もとめてよっ!





『姫様なら大丈夫だと思ってましたから!』




・・・この世界の人、信じられなくなりそう。




「やはり、私に認められた者だけが入れるように施した方が・・・。」



あっちではぶつぶつと恐ろしいこと呟いてるし。

怖いので、それは無視して問いかける。



「我は検査を受けねばいけないのではないのか?」



「いや、これで終わりだと思うぞ?」




いかにも体育会系な感じの人が答えてくれた。

そういや、この人初めてしゃべったな・・・。

いや、でも。




「これだけなのか?」




「まあ、ここに施された結界は世界の中で一番強固といわれてるからな。」




・・・大丈夫なのか?




まあ、とにかく。城に侵入、成功!







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