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第十三話 少女と精霊2

精霊たちの作ってくれた服をみて、宮都は一言つぶやいた。



「・・・これさ。もう、別の服じゃね?」



とりあえず、男口調になってしまうほど違うかった。

もう、なんだこれ。

学ランは、確かに学ランの形なんだけど。

黒色だが、シルクのようなすべすべの肌触りに、細かい意匠が施されている金色のボタン。

ポケットに縫いつけてある校章は、ホントのよりもカッコよくなっていた。

ズボンのベルトは、細身だがそれとなく綺麗な模様が入っている。

絶対、高級だろう。これは、もう学ランの類に入らないと思う。むしろ、学ランに失礼だ。

ついでに頼んだカッターシャツは、肌触りこそ似ていたものの、異様に軽い素材で出来ていた。

・・・なぜか、サイズはぴったりだった。これについては、何も言わないでおこう。うん。

追加注文したサラシを巻き、学ランを着る。なんか楽しい。

男装って、ひそかに憧れてたんだよなあ。

一回拓に上着を貸してもらって着てみたら、何故か拓には鼻血吹かれて、神奈が抱きついてきた。

拓はチョコレートを食べ過ぎでもしたのだろうか。

聞いてみたら、目を不自然にそらしながら何でもないといわれた。不思議だ。

少し思い出に浸っていると、水色少年がふわふわと目の前に現れた。


『姫さま。髪留め、できましたよ!』


どこか少し得意げな顔が可愛い。


「うん、ありがと。仕事早くて、助かったよ。」


いや、マジで。ほんとに早かった。

五分も立たないうちに作ってくれた精霊たちには、感謝である。

そして、なんか知らぬ間になじんでしまったけど。


「姫様はやめてくれ・・・。」


そんな身分じゃないから。平民も平民、中の中ぐらいだから。

そう呼ばれる度に、背中がくすぐったくなる。


『・・・ほら、つけてみてください。』


むむ。はぐらかされてしまった。

絶対に説得しようと決意を改めながら、髪を束ねて一つにする。

綺麗な銀色に光る髪留めは、不思議な模様がつけられていた。

それにはほれぼれと眺めてしまいそうになるが。

・・・凝らないでって言ったはずなんだけどなあ。

まあ、作ってくれたものなので文句は言えない。


「でも、これってどうやってつけるの?」


『じっとしててくださいね!』


愛らしい顔立ちで緑色の髪をした少女が、髪留めをつけてくれる。

サイズは大きかったはずなのだが、つけるとぴったりとフィットしていた。

精霊って神秘だ。

そういや、いつのまにかメガネはなくなっていたけれど、伊達だからいいか。


「それにしても、遅いな・・・。」


少年の姿をみてから、精霊と話したりして10分以上は過ぎているはずなのだが。

しょうがなく、近くの樹に寄りかかって敵をまつ。

せっかくだから、情報の確認でもとっておこう。


「ここって、もしかしなくても城の中っぽいよね?」


宮都に話しかけられたことが嬉しいのか、ぱっと顔を輝かせて水色少年が答える。

水色少年は、リーダーっぽい役職のようだ。


『はいっ。フェルベーナ王国の城の庭です。

 ここの王も皇子も、姫には到底及びませんが、見目麗しく有能なんですよ。』


「・・・いや、だから姫はやめて?」


『あ。皇子たちが近づいてきてますよ!』


またしても説得は華麗にスルーされたが、今はそれを気にしている場合ではない。

宮都は深呼吸をすると、予定を確認した。

どの小説をみても、最初が肝心だ。

隙をみせずに、かつ交渉する。皇子に気に入られればなおよし。

・・・交渉なんて面倒なものは嫌いなのだが、この先生きながら

元の世界に帰るための手がかりを探すには、それぐらいしか方法は残されていない。


宮都の方へ、人影が4つ近づいてくる。

生き残るためには、あたしは手段は選ばない。

仮面を被ろう。神奈と拓の所へ帰るために。







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