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第十話 少年と召喚 1

第十話を見てくださっている人~!

申し訳ありません。第九話に宮都サイドの召喚までを付け足しました。

これからもどっかにちょこちょこと付け足していく可能性は120%です。

まえがきでその度連絡しますので、これからもよろしくお願いします!

城を抜け出したヴァルは、本に書いてある材料を小さな腕いっぱいに抱えて庭へと向かっていた。

城の庭園は、王家以外は立ち入り禁止であるため、人には見られないのだ。

まぁ、立ち入りが許されていても誰も入らないだろうが。

城の二倍以上の広さがある庭には、巨大、かつ複雑難解な迷路のような木々がしげっている。

入り組みすぎて、一度入ったら二度と出てこれない可能性があったために、

道を知らない人は、絶対に迷うこととなる。

しかし、使いようを変えれば、絶好の隠れ家となり、王たちの避難場所にもなるのだ。

そのため、皇子は物心付く前から、徹底的に道を覚えさせられる。

それはそれはもう、徹底的に。

・・・それこそ、今までの全部の皇子が途中で一回以上は逃げ出すぐらいまで。

ヴァルも、その恩恵にあやかったひとりである。

(道、覚えててよかった・・・。)

この時ばかりは、スパルタ教育係に感謝したのであった。


迷路を迷いなく進んでいったヴァルがついたのは、広く青々とした草原だった。

王族以外立ち入り禁止なため、誰もいないはずなのだが、ヴァルは慎重にあたりを見渡した。


「だ、誰もいないよね?」


人がいたとしても、いないとしても、それに答える人はいないであろう。

そのことには気づかないまま、ヴァルはふぅ、と息をついて材料を草の上に置いた。

少しドキドキとしながら、『召喚魔法』のページを開く。

この機会は、ヴァルにとって魔法を使う絶好のチャンスなので、あくまでも慎重にするつもりである。

・・・ヴァルなりに、だが。


「え~っと。ヴェルトンの根っこ、マリサの薄皮・・・。」

材料は混ぜ合わされてかなり怪しげな物体と化しているが、ヴァルは気にもとめていない。

・・・というか、極力気にしないようにしているのだが。


「次は、魔力で包む・・・?どーゆーこと?」


これはかなりの高等技術であり、普通は中級魔術師がふたりがかりで

出来るような事なのだが、ヴァルは下手すると普通の魔術師よりも魔力が強いのである。

まぁ、王家である事も関係してだが。

ヴァルは、よくわからないまま、光が物体を包むような感じで想像してみた。



――――すると。

その次の瞬間には、かなりグロデスクな見た目だったのが、

澄んだ水のように透明な液体へと変わっていた。


「うわぁっ!すご~いっ。」


今まで魔法を使うことを禁止されていたため、ヴァルは知らなかったのだが。

――――実を言うと、かなり危険な賭けだったのである。

魔力が多すぎれば耐えきれずに爆発し、少なければ溶けてなくなってしまう。

ヴァルが怪我もなしで成功したのは、奇跡だと言っていいだろう。

そんなことも露知らず、少年は液体で魔法陣を描いていく。

30分後。


「つ、つかれた・・・。」

ヴァルはコテッと草の上に倒れた。

そのすぐ隣には、完成した魔法陣が作られていた。

致し方ないことである。

すでに、城から抜け出してから、一時間以上もたっているのである。

自然とまぶたが落ち、少年は安らかな寝息を立て始めた。


――――柔らかな金髪を風が撫でてゆき、ヴァルの疲れをゆっくりと癒す。

青く染まった空と雲が、それを穏やかに見守り、平和な時間がすぎてゆく――――。


・・・なんてわけが、なく。



「よしっ。次は召喚だ~!」

すぐにヴァルは目をあけ、ぴょこっと立ち上がった。









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