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Prologue


あれは、薄暗い曇天の日のこと。


「…麗しき女神よ、ワタシの忠誠を御身に!」


突如現れた灰色のアンデッドに、わらわは一方的に忠誠を誓われたのであった。


***


魔法大陸の北方に位置する王国、フォンテール。

賢王マルテス・フォンテールによって統治され、日々発展を続ける大国である。

…わらわは、この国の第一王女として生を受けた。


「オリガ様、ご機嫌麗しゅう」

「オリガ様はいつ何時もお美しくいらっしゃる」

「オリガ様は、この国中の淑女達の憧れの的にございます」


出会うものは皆、わらわへの過剰な賛辞を口にする。

一体、何故であろうか。

次期国王はわらわでなく、3つ年上のアレクシス兄上である。

いずれどこかへ嫁ぐわらわを、何故そのようにもてはやすのか。


その答えを知ったのは、わらわが18歳を迎えたつい先日のことであった。


「兄上。何故皆は、わらわをあのように過分に褒め称えるのでしょう」


誕生日の祝宴の席で、初めてわらわは兄上に問いかけた。

兄上は切れ長の目でわらわを流し見、微かに呆れた表情を浮かべて答えた。


「…氷の女王」


「?」


「機嫌を損ねて氷像にされないよう、必死なんだろう」


口数の少ない兄上の言葉を、わらわは時間をかけて飲み込んだ。

つまり、わらわは皆に恐れられていたのである。

考えてみれば、思い当たる節が無いわけではなかった。

唯一の友人である王宮魔道士エルシュにも、「オリガ様はちょーーっとだけストイックですからねぇ」と言われたことがある。


しかし、ここで新たな疑問が浮上した。

わらわを氷の女王と言うならば、常に無口で無表情の兄上も恐れられて然るべきではないのだろうか。


「兄上は…」


指摘しようと顔を上げたところ、兄上は既に離れた場所で王国騎士団の者達に誘われて行ってしまっていた。

わらわはあれほど大勢から誘いを受けたことなどない。


「…」


解せぬ。

全くもってその一言であった。

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