#79.闘争心が燃えたぎる
「……そうですか。残念です」
「えぇっ!? あられちゃん入んないの!? なんでぇ!?」
「きうい、理由を詮索するのは失礼よ」
きうい姉は納得がいかないようで不満気な表情をするが、ルナの注意を受けて渋々口を閉じる。
ライバースのオーディションの合格倍率は驚異の1500倍と言われ、合格を勝ち取ったメンバーでさえも過去に落とされた経験を持つくらいだ。
そんな大手企業からのスカウトなんて、そうせざるを得ない状況でない限り、普通は断るなんて有り得ない。ルナの発言も恐らくその配慮からくるものだろう。
しかし、私は普通で収まってはいけないのだ。
整備された道では、開拓され尽くした町にしか繋がらない。自分自身で切り開かねば、新境地にはたどり着けないのだ。
その一方で、この決断は少し時期尚早であったと、思わない訳でもないのだが……
「あられさん」
その心の揺らぎを見透かしたように、ルナは眼光を鋭く光らせて話し始めた。
「あなたがもし、まだ少しでも悩んでいるのであれば、一つ提案があります」
「……提案って、なんですか?」
「一度、ライバースでの活動を体験してみませんか? 夏休み期間中の一ヶ月間、ライバースのもとで活動してみてから、考えてみてほしい……そして、あわよくば気が変わって欲しいのですが」
……なるほど。
つまりは、"インターン"というわけだ。
この提案は、かなり魅力的である。
直にライバースの活動を体験してみることで、ライバースに所属していても私の目標を達成出来る道筋を発見出来るかもしれない。
また、もし今と結論が変わらなかったとしても、VTuber界の最前線を味わうことで得られる物はある筈だ。
「……わかりました! ぜひそうしたいです!」
それに……ライバースで活動することで一気に知名度を爆増させて、合法的にそれを持ち逃げすることが可能なわけだ! なんて好条件!!
「じゃあ、詳細が決まり次第連絡するわね」
というわけで、ルナと連絡先の交換を済ませた後、解散という手はずになった。
「じゃあねっ! あられちゃん!」
裏口まで送ってくれたきうい姉に手を振り返すと、私はくるりと半回転して路地を歩き始める。
ライバース……今回の訪問で、とてつもなくヤバい所であることは身に染みるほど理解した。
夏休み……私はあの魔窟に混ざり、そんなヤバい彼女達と戦うのだ。
「……少し燃えてきたわね」
ただ一つ気がかりなのは……火火 すぴか、彼女の存在である。あれほどのオーラを持っていながらそれを使えないのはあまりに勿体ないが……
そうしてあれこれ今日のことを整理していると、あっという間に最寄りの駅に到着してしまった。
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