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#74.防波堤は決壊する

 

「む? これはなんだ?」


 私がサイン入りの表札を鞄の中にしまっている最中、メテオが床に落ちていた黒い布に手を伸ばす。


「あっ! それわたしのでーす!!」


 変装用の衣装まで飛び出ていたのか。


 メテオはそれの隣に落ちていた白の仮面も一緒に拾って、私に手渡してくれた。

 私がそれを受け取ると、きうい姉はある疑問を投げかけてくる。


「あられちゃん、それなにー? マント?」


「……ふっふっふ」


「うわぁっ! なんて怪しげな笑みっ!!」


 そういえば、あの感性の乏しいクズ男達にボコボコに貶され、鬱憤が溜まっていたのだ。

 今こそそれを晴らし、観衆から賞賛を得るべき時!!


 私はクルッと回って素早く衣装を装着すると、華麗にポーズを決めてきうい姉にウィンクしてあげる。あ、仮面してるから見えないんだった。


「……こ、これは!!!」


 そうでしょう、そうでしょう。感動して言葉が出ないでしょ──


「ハッハァー!! とてつもなくダサいなっ!!!」


「ちょっ! メテオちゃん!! ダメだよそんなストレートに言っちゃ……あ」


 メテオの心無い言葉と、暗に同意の意を示すきうい姉の反応が私の心にグサッと刺さり、見事に致命の一撃を与えた。


「……う……うぅ……っ!」


「メ、メテオちゃん!! 謝らないとぉ!! あられちゃん爆発寸前だってぇー!!!」


「む? ハッハァーすまなかったな、あられ!! ボロ雑巾はさすがに言いすぎたか!!!」


「なななな何言ってんのメテオちゃん!?」


「おっとすまない!! これは心の声だったハッハァー!!」


「もう黙ってぇ!!!!」


 ……突然、ざえが学校に転校してきて。

 困惑しながらも仲良くしようと思って。

 それでざえが危なかったから、私自身もリスクを犯しながらどうにか立ち回って。

 お金もかけて。時間もかけて。チカの助けも借りて。


 でも、そんな中でも楽しもうと思って。

 色んな店を訪れて、考えて、丹精込めて作った衣装だったのに。


「……ぅ……ゔぅ……こんなの……あんまりだよぉ゛〜っ!!」


 私の防波堤は遂に決壊して大量の涙が噴射、その勢いで仮面が外れ、私の泣き顔があらわになる。

 それを見たきうい姉はいよいよ焦って、あらゆるポケットに手を突っ込んで慌ただしくハンカチを探し始めた。

 どうせ持っていないだろうに。


「じ、冗談だよぉ〜っ!! ホントはとってもユニークで個性的だと思ってるよぉ〜? ね、ユリちゃんもそう思うでしょ? 」


「え!? えぇー……そうだね! なんか、あられちゃんっぽいって言うのかなぁー? 独創的で、普通は思いつかない……みたいな? なのもそう思うよね!?」


「なのっ!? な、なのもそう思うの!! 常識に囚われてない感じで良いと思うの! メ、メテオはどうなの?」


「ダサいな!!! センスの欠片もない!!」


「ゔあああぁぁぁーーーん!!!!」


「なの!! なんでメテオに振るのよ!!」


「な、なんかそういうノリだったからついやっちゃったの!!」


 ……まぁ、演技ですけどね。

 私がこんなことで泣くわけないじゃない。

 反応に腹が立ったから少し痛い目を見てもらおうと思っただけ。それもまぁ大の大人がこんなにも慌てふためいて、なんて滑稽なこと!! 写真に撮ってホーム画面の壁紙に設定したいくらいだわ!!!


 ……それにしても、こんなにも簡単に騙されてくれるのか。まぁ、この衣装の素晴らしさが分からないナンセンスな人間が、私の完璧な泣き真似を暴けるはずないか。


「……ぁ……あの!!」


 泣き喚く私と、慌てふためく群衆。

 そのてんやわんやの騒ぎを止めた声は、いつの間にか意識を取り戻したすぴかのものだった。


 現在の登録者数:183,859人(55人up⤴︎︎︎)


***

第七十四話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


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