#64.路地裏には意味がある
これで10万字だぁーー!!
きうい姉が指差す方向には、正面に花を咲かせる高層ビルではなく、光が当たらず怪しげな雰囲気を漂わせた路地裏があった。
え……どういうこと……?
一瞬脳内が凍結するが、すぐに再起動をかけて最大限の稼働量でその真相を推測する。
現在、可能性が高い説は1つ。
ライバース事務所に向かっていると私が勝手に勘違いしていただけで、目的地は別の場所という説である。
となると……あんなに怪しい路地裏を通って、一体どこへ行こうというのか。
きうい姉は困惑する私にニヤッとほくそ笑みながら、くるっと私に背を向けて路地裏の方にスタスタと歩を進めていく。
何か……企んでいる……!?
私はあれこれと嫌な妄想をする。飲酒、賭博、売春……まさかドラッグ!?
きうい姉ならあり得る……快楽を貪るために犯罪に手を染め、気がつけば後戻り出来なくなってしまったのだろう。
『うぃぃ〜たまんねぇ〜』と嬉々として白い粉を吸う彼女の姿が容易に想像できる。
しかし! そんな行為を見過ごすわけにはいけない!
きうい姉はVTuberとして十分成功しているのだから、悪事がばれてその地位を失う前に私が止めてあげないと!!
私はそう決意を固めると、路地裏に入っていく彼女の背中を追い、勢い任せにその空間に飛び込んだ。
路地裏は、両隣のビルに挟まれて出来た一本道で構成されていた。いや、これは道というよりも隙間と表現した方が適切かもしれない。が、所々に設置された人工の光源から放出されるオレンジ色の光がアスファルトに照射して、想定していたよりも穏やかな雰囲気を醸し出している。
路地裏に遅れて到着した私を仁王立ちで待っていたきうい姉は、平然とした顔で口を開いた。
「ここからは一般人は殆ど通らないから、安心して喋っていいよー」
一般人……その言葉選びはやはり!
彼女の言葉により、私の推測が確信に変わる。
「きういさん! やめましょうこんなこと! 秘密にしておきますから、早々に足を洗ってドラッグなんて金輪際やめてください! ついでにお酒も!!!」
私が真剣な眼差しを向けて必死に説得を試みるが、彼女は何一つ響いていないようで苦笑いを浮かべた。
「あられちゃん? 何を勘違いしてるかしらないけど、別に怪しいとこに行くって訳じゃないよ?」
そんな悪あがきが私に通用するとでも?
「なら一体どこに行くって言うんですか! こんな反社的な道通って!」
「あれ? 気づいてると思って言わなかったんだけどなぁ……何を隠そう、私達はライバースの事務所に向かってるのさ〜。ほら、あれ見て」
彼女は大通りにひょこっと顔を出して、今度は株式会社ラナンキュラスのビルの近くを指で示す。
私は訝しみながらその方向に渋々目を向ける。と、ふと違和感に気づいた。
先程は変に興奮していて気が付かなかったが、よく観察してみるとその異様さがよく分かる。
ラナンキュラスのビルの前で数台の車が路上駐車をしていたり、ビルから十数メートル離れたところの数人がビルの入口をチラチラと伺っていたりするのだ。
私はその数人に目をつける。彼らは例に漏れず、皆揃って入口の方にスマホを向けていた。そこでピンとくる。
これは恐らく……"盗撮"だ。
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