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#62.真っ赤な花が咲き誇る

 

 同日午後8時。


 仕事や学校帰りのサラリーマンや学生が溢れかえる駅内で、私達は息を潜めていた。


(きういさん……もう声出してもいいですか?)


 隣にいるきうい姉にヒソヒソ声で聞いてみるが、彼女は依然として首を横に振る。


 ぐっ……結構きつい……


 彼女から"行こう"と提案されたその後、特に予定もないし大事な話というのも気になった私は提案を承諾し、地面に寝転がるチカを放置して最寄りの駅に向かった。どうやら電車を使うらしい。


 のだが、最寄駅に着くや否やきうい姉は私にルールを一つ提示した。


「あられちゃん、ここからは私が良いって言うまで原則発言禁止だからね!」


「え? 身バレ対策ですか? 何もそこまでしなくても……」


 私の言いたいことを察知したのか、言い終えるより先にきうい姉は首を振って否定する。


「あられちゃんは身バレの怖さを分かってないよ! ここら辺なら多少オープンにしても大丈夫だろうけど、これから向かう所は絶対NG!! というかまず電車がやばい! 冗談抜きで声が響く!!」


 彼女は今まで見たことの無いような徹底っぷりを発揮する。

 身バレケアなどという面倒臭いことは極端に嫌がりそうなイメージのきうい姉にここまで言わせるとは、私が想像している以上にVTuberにとって身バレは天敵なのかもしれない。


 これがライバース運営の熱心な教育指導のおかげなのか、はたまたきうい姉が独自に編み出したリスク管理なのか……どちらにしろ、これは将来人気VTuberになるであろう私も見習うべきなのに変わりはない。


「もしどうしても言いたいことがあったら、耳元でこっそり伝えること! いいね?」


「はい! 分かりました!」


 そしてそれから電車に揺られ一時間ちょっと……進むにつれ人が多くなり、遂には満員電車でスマホもろくに操作できず、更には声も出せないという半ば拷問状態。


 目的の駅に着いた頃にはさすがの私もひたすらに疲労してしまった。


 そんなこんなでフラフラの状態で今に至る訳だが、隣で目的地へと足を進めるきうい姉は一切疲れた表情を見せない。


 私も日頃のトレーニングに関してはかなり力を入れているつもりなのだが……まさか血液アルコール女のきうい姉にここまで差をつけられるとは……屈辱っ!!


 駅を出た後も相変わらず無言で人混みの中をかき分けて進んで数分、遂にきうい姉の足が止まった。


 私は自ずと下がっていた視線をふっと前に戻すと……そこにあったのは高層ビル群であった。


 その瞬間、私の注目はある一点に集中する。

 VTuberを知る者なら誰もが分かるであろう、()()ロゴマークが高層ビルの側面に高々と備え付けられているのだ。


「ここって、まさか……」


 真っ赤なラナンキュラスの花をモチーフにした、現在のVTuber界の象徴とも言える印。


 それは、私ですら自然と胸が高なってしまうような、そんな不思議な魔力を秘めていた。


 私達はライバースの事務所──株式会社"ラナンキュラス"の本社に到着した。


 現在の登録者数:182,785人(1,189人up⤴︎︎︎)


的中しましたか?

***

第六十二話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

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