#6.旧友は逆鱗に触れる
初配信から少し時が経過して、4月10日。
春休み期間中だったこともあり、あれから基本的に毎日配信を行い、さらに初配信の切り抜きが大バズりとは言わないものの小バズりくらいは爆発し、チャンネル登録者数が一気に5万人近くまで急増した。
5万人、と言ってしまえば思ったより少ないと感じるかもしれないが、動画配信サイトでは上位1%であり、望めばいつでも収益化さえ出来てしまう。結果としてはかなり上々である。
そして今日、私は高校の入学式に出席していた。
配信では分かりやすくJKと説明しているが、実を言うと新高校一年生であって今の今まではJKではなかった。
が、たった一ヶ月で変わるJCという肩書きを広めるより、JKとして知ってもらった方が断然良いと考えそうした、し今日から嘘ではなくなった。これからは胸を張ってJKを名乗る。
校長の話やら国家斉唱やら色々とプログラムが 進み、今現在11時半頃、やっと入学式は終了に近づいてきた。
パッと後ろを振り返ると、大勢の保護者達がカメラを持ってこちらを見ていた。
入学式終了のアナウンスと同時に、生徒と保護者の離れていた距離が見る間に縮んでいく。
実はおじやおばが気を使って入学式に来ると言ってくれたのだが、私は有難く断っておいた。両親が他界したのは幼い頃でもう寂しいなんて年齢ではないし、そんなことよりもこれからどうやってVTuberを伸ばすかの方が重要──
「あーまちゃんっ!」
背後から掛けられる全体重に思わず私はよろける。
「ちょっと! 何するのよチカ!」
そうやって背中に突進してきた彼女の名は、才姫 千夏。"駅近"で覚えてあげてほしい。
彼女は中学校からの旧友で、私の唯一の友達と言っていい。無論、連絡先を知っている友達というのもチカであり、実際に初配信時に電話をかけてきたのもこの子だった。
ワケあってかけ直しはしていないが。
「その呼び方やめてって言ってるでしょう?」
「えー、あまちゃんって可愛いじゃん! 私のあだ名なんて駅近だぞ?」
「あんたはそれを嬉々として自分から呼ばせてるでしょ! あまちゃんって舐められてるみたいじゃない!」
「じゃああまさん?」
「出家してないの! わざとやってるでしょ!」
「あはは、ごめーん」
なんてこんな気楽な会話が出来るのも、私にとってはチカだけ。別に人数が多ければ良いというものではないが、こうやって私と話してくれる相手はきちんと大切にしないといけない。
だから、能天気で少し抜けてるところもあるけれど、チカとはなるべく一緒に居たい、そう思える大切な友達だ。
「ああ、そういえば……」
「ん? どうしたの?」
彼女はポケットからスマホを取り出すと、ある画像を表示させてこちらに向けてきた。
そこには、見覚えのある顔が……
「ねえ、あまちゃんって、もしかして甘姫あられちゃんだったりする?」
絶縁しようかな……
え? 6話で身バレ?
***
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