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#53.嫉妬の炎が萌える


「もーほんとにびっくりしたよー!」


さっきと影の位置が変わっている中庭のベンチに腰掛けながら、チカは勢い任せにミルクティーを吸い上げる。


昼食を取りにカフェテリアへ向かう生徒達の声が微かに聞こえる。中庭に人影は見当たらないので、この声は廊下から漏れ出ているものだろう。

大した役割もなく、カフェテリアへの道にすら使用されない中庭の不人気っぷりには涙を禁じ得ないが、人に会話を聞かれたくない私たちにとっては都合が良い。


「確かに顔も声も似てるけどさー! てか名前も一緒!? 珍しいねー」


「チカ、受け入れるのはやいわね」


「そりゃあ驚いたし、ちょっとムカついたよ? 私の推しをあんな目に合わせたんだから!」


「本当に申し訳ない。もうあんなことはしない」


ざえは素早く頭を下げて謝罪の旨を語る。

きっと本当に反省しているのだろう、が……


「ざえ! あんたそうやって謝るけど、さっきも教室で私の活動名言おうとしたでしょ!? 引退の次は身バレさせる気!?」


「……本当に、申し訳ない」


それ以外にも言いたいことは山ほどあるのだが、ざえの頭が一生下がったままになりかねないので止める。


「まあ、その謝罪で今までのことは水に流してあげるわ。チカもそれでいい?」


「うん。あまちゃんが良いならー」


「ありがとう二人とも。恩に着る」


ざえの難解なワードセンスに苦笑いしながら、私は昼食のサンドウィッチを取り出してひとかじりした。


私がサンドウィッチの濃厚な味わいを堪能していると、ミルクティーを飲み干したチカが何か思いついたような顔をしていそいそと何かを準備し始める。彼女がスマホを手に取った瞬間、私は彼女の企みを察した。


「チカ、まさかざえに"ボイス"を録ってもらおうなんて思ってないわよね?」


「ぎくっ!!」


どうやら図星だったらしく、彼女は分かりやすく目を泳がせて震えた声で弁明し始める。


「いやぁ〜? やっぱり私もVオタですし〜? 目の前にVTuberがいたらそりゃあ録らない方が不自然と言いますか? そ、それに! 私達はもう友達なんだからーそれくらい良いじゃん!?」


全く、油断も隙もない女である。

が、チカがいくら巧みに言葉を並べようとも、ざえにあの地獄を味わわせる訳にはいかない。

チカを納得させる為に一番効果的なのは……


「ふーん、チカは()()()()()()()()()()? あれだけ推しって言ってたけど、所詮はその程度だったのね」


「うぐぅ……分かったよぅ私はあられたんひとすじっ!!!!!」


「よしよし、良い子ね」


泣きながら私に忠誠を誓うチカの頭を撫でてやる。と、今度はざえが話し始める。


「チカだけずるい。私があまの彼女なのに」


ざえの爆弾発言に一瞬空気が凍る。


「……えええええええぇぇぇぇそうだったのあまちゃん!? ひどいよ!! さっきは私にあんなこと言っておいて!!! てか手早すぎだよ! この女たらし! ビ〇チ!!」


「ビッ……!? 何言ってるの誤解よ!!! ざえも何適当なこと言ってるの!?」


「適当じゃない。今朝、あまにこの気持ちを伝えた。そしたら"分かった"って……」


「あー……」


「あまちゃんのバカ!! やっぱり付き合ってるんじゃんか!!」


いや確かに言ったけれども!!!!

あれはそういう意味じゃなくて友達として仲良くしよう的な……!!


私は必死に誤解を解こうとするが、チカは聞く耳を持たずギャンギャンと喚き立てる。


「あーあーそうやって私だけ仲間外れにするんだ!! それで私だけ放って放課後にデートとか行って……夜景見ながらちゅーとかしちゃうんだ!!」


「チカ! あんた何言ってんのよ!! そんなの出来るわけないでしょ!?」


「……」


「ちょっとざえ!! あんたもチカに何とか言ってやって──きゃっ!?」


突然、ざえは無言で立ち上がると私の両肩を力強く掴んだ。


「……できる。キス」


限界突破の登録者数:170,524人(1,512人up⤴︎︎︎)


***

第五十三話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


あなたの意見を聞かせてください!お願いします!!

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