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#41.そうだ、私は。

 

 ざえからのメッセージには、丁寧な言葉遣いで謝罪の旨が長々と綴られていた。


 きういの言葉が頭の中で反復する。七歩之才は反省し、学習し、次のステップへ歩を進めようとしているのだ。

 ……いや、彼女に何の落ち度があったのだろうか。


 ざえはただ疑問を解消すべく答えを聞いただけだ。それが私の首を絞めることを知らなかっただけ。

 ライバルを蹴落とし自分がのし上がる、反省するどころかむしろ最適な行動かもしれない。


 が、現に彼女はそれを過ちと判断し、謝罪文を送信した。


 一体なぜ? どんな理由で? 何のために?


 ……いや、この思考サイクルをついさっき指摘されたのだった。


 私は両親がいなくなってから、ずっとこの思考サイクルを回している気がする。

 それが間違いだとは思わない。

 ふと突然に自分の大切なものが壊されていくのが当たり前の世の中で、最適な行動を探究しない方がおかしい。


 自分の大切なものを失わないためにも、最適な行動を選択していかねばならないと小学生の私は決心したのだ。そして今も尚それを続けているだけのこと。



 では、"甘姫あられ"は、大切なものじゃなかったのだろうか。


 ふと考える。私がVTuberになった理由。

 最適を考える日々と謳っておきながら、私はこの問いに答えることが出来ない。

 何となく、で濁していた私の原点……適当に理由付けすることは出来るけれど、きっとそれは本当のものではない。


 だから、だろうか。この問いの解答をもっと以前から真剣に考えなかったからこんな事態に……いや、ならば私がVTuberとして活動している理由とは……だめだ、考えれば考えるほど頭が混乱していく。


 きうい姉からヒントを貰えた気がしたけれど、まだまだ私がそこに行き着くには手がかりが足りない……


 ピコン


 今度の通知はざえからではなく、チカからのメッセージだった。


 う……気まずい……


 感謝はしているのだが、今朝あんな泣き顔をさせてしまった後だ。どうしても気が引けてしまう。

 どんな恨み言が書かれているのか……と半目開きで恐る恐る開くと、そこには文字ではなく動画のURLが送られてあった。


 その動画は、私のデビュー1ヶ月記念配信。


 羞恥心だか何だかも忘れて、私は迷わずその配信動画を開いた。


 と、その瞬間から勢い良くコメントが流れ始める。自分の配信に打ち込まれたコメントを()()()()から見るのが目新しくて、少し面食らってしまう。


 しばらくしていると、待機中の画面に暗がりが段々と増していく。

 私はこの続きを知っている。薄暗い中、見えてくるのは──星空。


 思い出した。

 そうだ。私はこの時既に見つけていたのだ。

 私がVTuberとして活動する理由。

 どうしようもないのに、それでもまだ続けたいと思ってしまう理由。

 PCから離れている時間がこんなにも辛い理由。


「だって 僕は 星 だ か ら 」


 とうとう甘姫あられが歌い始め、コメント欄は感謝の言葉とペンライトで埋め尽くされている。


 ……ったく、私の周りはなんで皆こんなにも優しいのよ。


『ありがとう』と書き込むリスナーも、チカの怒りも涙も、きうい姉の言葉も……お陰で私も気づくことが出来た。


 そうだ、私は。


***

第四十一話読了ありがとうございます!


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