#32.ギャップ萌えは開花する
「というわけでねー、今日はぁーあられちゃんとざえちゃんの雑談ということなので! 私は見守り役兼進行役に専念しようかなーって思いまーす。酒のつまみになる話を頼むよぉ〜」
「きういさん、このまえルナ様が、配信中のおさけはだめっていってませんでしたー?」
「あーんなのほっときゃあいいのよ〜これが私の味なんだしさぁー」
コメント
:あーあそんなこといっちゃって
:後で怒られるぞw
:酒臭くないきうい姉なんてきうい姉じゃないっ!
《星乃 ルナ》:^^
:草
:本人おるw
:ルナ様もよう見とるwww
:やっべw
:きうい姉おつかれw
:終わったな
:詰んでて草
「ぎゃああああなんで見てるんだよぉー!! 別にちょっとくらい良いじゃんか! ねぇ、ざえちゃん!」
「……っ!? ひ、ひゃいっ!!」
「「……え? ひゃい?」」
ん? このざえの予想外の反応に私ときうい姉は困惑する。
「も、申し訳ありません。取り乱しました」
彼女の売り出しは天才。ということはイコール冷静沈着となる訳で、自ずと反応は鈍くせざるを得ないはず……なのに、何故この反応を? というか、ここできうい姉が求めているのは同意ではなく冷徹な返しなのでは?
しかし返ってきたのは、キャラ崩壊待ったナシのかわいい反応。
となると……
……はっ! これはまさか──ギャップ!!!
ギャップ。
普段は冷たそうな人が猫を前にして優しくなったり、ヤンキーっぽい男が手料理を振舞ったり……と、通常のその人からは想像のできない意外な一面を目撃した時、人間はこのギャップというものを感じる。
自分だけが知る秘匿感。意外性。下がっていた好感度の上昇。いわゆるギャップ萌えである!!!
なるほど。確かにこのギャップ萌えを駆使すれば、視聴者は親近感を覚え、"天才"というレッテルで遠ざけていたその距離がぐんと縮まる可能性が高い。
天才系というファンを突き放しそうなジャンルも一気に花開き、劇的にリスナーを獲得しやすくなるだろう。
七歩之 才。天才と豪語するだけあって、なかなか頭が回るようだ。
では、ここからはそのギャップをどの比率でどのタイミングでどのように露見させるのか、見所である。
「あー、ざえちゃんも一杯やっとくぅー?」
「きういさん! みせいねんのいんしゅは──」
「は、はい。有難く頂戴いたします」
「「……え?」」
どうやらツッコミ待ちだったらしいきうい姉も拍子抜けの声を出す。
「あ、間違えました。あの……」
えっと……と小声で呟くざえの声のみが続き、少しの沈黙。その後、気まずそうにざえが口を開いた。
「あ、あの。ももも申し訳ありません。未成年なので飲酒は……」
「……あ、あぁーそうだったねぇーうっかりしてたよなははぁー」
コメント
:?
:何この空気w
:なんで誘ったきうい姉が引き気味なんだよw
:空気独特だなw
:どういうノリ?w
:きうい姉不発
ま、まずい。早く会話を盛り上げないと。
「ざ、ざえちゃんもやっぱり配信のときはおさけひかえるべきだとおもうよねー!」
「……は、はははい。そそそそうですね。私もそそそそう思います」
…………2度目の沈黙。
ここで私は確信した。
彼女は狙ってギャップを生み出しているのではない。
「もしかしてざえちゃん……結構緊張してる?」
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第三十二話読了ありがとうございます!
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