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#29.5.美容室での一幕

 

 美容師さんとの会話にて。


 さっきから話していて思ったのだが、美容師さん……実は結構声が良い。

 可愛い系では無くハキハキとした透き通る感じの声で、たとえると丁度、星乃 ルナのような声質をしている。


 そう思いながらまじまじと彼女のことを見つめていると、彼女はそれに気づいて少したじろぐ。


「ど、どうしました?」


「そういえば中野さんはVTuberしないんですか?」


 彼女は首に吊り下げている"中野"の名札をあっちこっちに振り回しながらブンブンと手を横に動かしながら否定する。


「む、むむむむりですよ!! 美容師の仕事もありますし、まず声も可愛くないですしー」


「私的にはかなり良い声だと思いますよ。自信もって下さい」


「そんなそんなー……機材とかも高いでしょうし、今で十分満足していますし」


 そんなことを言う割には、少し寂しそうな顔をしていた。


 よくよく考えてみると、彼女のVTuber適性はかなり高い。

 透き通った声に明るいキャラクター、オタク気質に接客業で培ったトーク技術。


 美容師系VTuberとして活動すれば、案外いい線を行くのでは……っと、こんな偉そうなことを口にするのは、もっと人気になってからにしておこう。


 まあ、もし私が星乃 ルナのようにVTuber事務所でも経営する時が来たら、その時にスカウトでもしてみようか……か……かへっ──


「へっきしゅん!」


「くしゃみ助かる……」


「え? 今ボソッと何か言いました?」


「い、いやー? 気のせいじゃないですかぁー!?」


 ……失言は多め、と。


 〜数十分後〜


「はい! できましたー!」


 ぱっと鏡を見てみると、毎度のことながら自分の劇的な変化に驚く。

 絶妙なバランスで振り分けられた前髪により可愛らしい印象を与えつつも、首元辺りから肩にかけての波打つ髪で大人っぽい雰囲気も醸し出す。


 学校ではこういう風に髪をきちんとセットするのは原則禁止であるので、何だかより気分が上がってしまう。


 ふふん……もし彼女をスカウトする時がきたら、他の子よりも良い待遇でお迎えしてあげましょう。


「ふふ、気に入ってくれて嬉しいですー」


「ふあうっ!」


 彼女のにやけ面を見て、高待遇はやめることにした。


 ……別に気に入ってないしっ!


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