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#29.私は見極めなければならない

 

 チャポン


 触れた部位からじわっと伝わってくる温かさを存分に感じながら、ゆっくりと体を落としていく。


「ふぁー……あったかい……」


 肩まで湯船に浸かり切ると、思わぬ声が出てしまった。

 私は目を閉じて、昼間の美容院のことを思い出す。


 天才系VTuber、七歩之 才(しちほの ざえ)

 男性っぽい名前をしているが姿は可愛らしい女の子。設定か本当かは分からないが、奇遇にも私と同じJKらしい。


 爆発的な"バズ"は未だないものの、豊富な語彙と特筆した思考能力でユニークかつ安定した配信を継続的に行っており、デビュー1ヶ月足らずで登録者数は5万人を超えている。


 最近、自分の配信に意識をより割いてしまっており、こんな期待の新人をノーマークにしていたのは反省である。が、美容師さんとの雑談が無くても、遅かれ早かれ私は彼女のことを知ることになっていただろう。


 窓の縁に置いていたタオルで手を拭くと、隣のスマホを取る。


 コミュニケーション系のSNSを起動してみると、そこには数時間前に送られたらしい1件のメッセージが表示されている。


『甘姫 あられさん、こんばんは。

 VTuberとして活動している七歩之 才と申します。

 大変不躾なのは承知なのですが、もし宜しければ私とコラボして頂けませんか。ゴールデンウィーク中でのコラボを想定しております。御手数ですが枠はあられさんに立てて頂きたく思います。収益は全額あられさんで問題ありません。

 ご検討の程よろしくお願いいたします』


 なんて丁寧なコラボのお誘いだろう。

 確かきうい姉は、


『鬼透 きういって申しまーす!

 あられちゃんめっちゃ可愛いね! コラボしよー!!!』


 みたいな感じだったはずだ。

 これに比べるとざえのどれだけ礼儀正しいことか。

 ……いや、この場合はきうい姉がフランクすぎるだけか。


 まあとにかく、この何とも奇遇なタイミングで彼女からコラボの誘いが来たのだ。彼女も個人で活動しているVTuberであるので、私と同じくゴールデンウィークのネタに困ったのだろう。これは私にも嬉しい話だし、当然引き受けるつもりだ。



 だが。

 それよりも重要なことがあるのだ。


 私はVTuberになろうと考えた時、彼彼女らの研究中にまず1つの共通点を発見した。


 人気を獲得するVTuberの殆どはバカ──ぽんこつ(私ほどではなくとも)、ということである。特に女性は。

 たとえしっかり者だとしても、その面を全面に押し出すことはなく、何ならその子が失敗してしまった時にギャップで盛り上がることが多い。


 また、ぽんこつとは愛嬌であり、視聴者との距離感がより近くなる。配信者と視聴者の距離の近さが強みなVTuber界にとってこの特性は効果絶大であり、逆に天才は視聴者と距離が出来てしまいやすい。


 つまりは、"頭の良い女性VTuberは求められていない"、極めて失礼な話だが私はそう結論づけたのだ。


 だからこそ私はぽんこつ系VTuberとしてデビューし、そして現在も順調に活動できている。


 だが、ざえ──彼女がこれから人気になっていくとすると、私の結論は間違っていたこととなり、私が危険(リスク)を犯してぽんこつを演じる必要性は皆無になる。


 だからこそ、ネタ切れだとかそういう理由ではなく、私は見極めなければならないのだ。


 七歩之 才──天才系VTuberというものを。



 その後コラボの予定は着々と決定し、ゴールデンウィーク最終日の日曜日に『天才VSぽんこつ』として雑談配信を行うことになった。


 現在の登録者数:168,597人(7,899人up⤴︎︎︎)


***

第二十九話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


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