#27.次回作にご期待下さい
美容師さんは満面の笑みで続ける。
「その子、甘姫 あられちゃんって言ってこの前デビューしたばっかなんですけど! きういちゃんとコラボしてるの見て私すっかりファンになっちゃって!」
ファンじゃねえか!!!!
というか、これはもしや気づかれているのか? 全部分かっていて私の反応を楽しんでいるのか!?
あれ……私今までどんな声で話していたっけ……?
「あ! 切り忘れって言うのはですね。まずVTuberは配信するんですけど、配信終わりますって時に終わるのが上手く出来なくて、本人は終わってると思っててそれで──」
「へ、へー、ソンナコトモアルンデスネー」
混乱した結果、歪な声になってしまう。
が、ここまで切り忘れについて細かく説明しようとしてくれているなら、きっと私のことはまだ気づいていないはずだ!
なら、あくまでVTuberに興味のない一般人として話を受け流すのみ。ポーカーフェイスを維持すれば乗り切れるはず。
……一応声は低くしておこう。
一旦は甘姫 あられの話題から逸らすため、彼女に質問を投げかける。
「お、推しは誰なんですか?」
「推しですかー……勿論きういちゃんとかも好きですけど、やっぱり最推しはー……ルナ様ですかね!」
「ルナ様?」
「はい! VTuber界の中で飛び抜けて人気な4人のうちの1人で凄い人なんです! その人、社長とVTuberを両立させてて」
「両立ですか? 凄いですね」
「そうなんですよ! それに加えて月一でライブやってるアイドルでもあるんですからね! ほんとに、いつも仕事でひいひい言ってる自分からすると憧れの存在ですよー……あ! 仕事は楽しいですよ!!」
彼女の慌てる姿が可愛らしくて少しニヤついてしまう。
「大丈夫ですよ。気を使わなくて」
「いえ! 本当に楽しいんです! ……でも、ルナ様とかを見てると、自分じゃ到底出来ないようなことを簡単にやってのけてて……見てたら、私も頑張んなくちゃ!ってなれるんですよねー。だから最推しです!」
星乃 ルナの名前を聞いてふとこの前のことを思い出す。
PC越しでも伝わったあの圧倒的なカリスマ性がきっと、知らず知らずのうちにファンを勇気づけているのだろう。
大勢の憧憬の目を集める彼女は、ぽんこつで売り出している私とはまるで真逆のライバーであり、与える印象も活動内容も私とは全く異なる。私はそれに劣等感を抱いてはいないし、彼女みたいに活動したいとは思わない。
でも、彼女がこうしてファンに力を与えているのは……凄く、羨ましい。
私もいつか、こんな風に応援してくれる人の力になれたなら……美容師さんの笑顔を見て、そう思った。
「そういえば天さん、声結構いいですよねー。なんか透き通ってる感じというか……ほんのり甘いみたいな」
「え!? そうですか!? 全然ですよー」
折角良い感じに纏まっていたのに!
「VTuberとかやってみたらどうですかー? その声なら出来るかもしれないですよ!」
「い、いやいや恥ずかしいですかりゃっ! ……」
「りゃ?」
かかかかかかかかかかかかかかんじゃった……!!!!!!
まずいまずいいやこんなのでばれないはずでももしかしたらこれはだいぶまずいのではいや落ち着け落ち着け……
「その噛んじゃう感じって……そういえば天さん……声が誰かに似てるような……誰だっけ……」
ぎ、ぎゃぴっ!!!!!!
「あぁそうだ。甘姫 あられちゃんに似てるような……」
……
…………
………………
★ご愛読ありがとうございました。霰姫先生の次回作にご期待下さい。★
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