#24.あられが溶ける
「きういさん、私実は──」
「あ、あと配信切り忘れてるよー、あられちゃん!」
「…………え゛?」
何の冗談を……いやまさか本当な訳……そう言えばちゃんと配信切れたか確認したっけ……
私は冷や汗ダラダラになりながら一目散にマウスを動かし閉じたタブを開き直すと……そこには『ライブ』の文字と活き活きとしたコメント欄が。
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!!!」
コメント
:草
:草
:すげぇ声出たなwww
:あっられちゃーんみってるー?
:ここでネタバラシかw
:草
:笑いしぬわwww
:あられちゃんの切り忘れでしか得られない栄養が……ある!
:やっぱりぽんこつ! 実家のような安心感!!
歌やらコラボやらスカウトやらでもういっぱいいっぱいなのに、まさか本当の切り忘れをしてしまうなんて……ミイラ取りがミイラになるとはこの事か……!
いやそんなこと言っている場合じゃない!
なにかまずいことは言ってないだろうか……?
まずどこからどこまで配信に乗ってるんだ? まさか全部……?
やばい、頭がクラクラしてきた。
もう……溶けちゃう……
「あれ? あられちゃーん? 大丈夫そー?」
「……あられはぁ……とけましたぁ……」
「ゔえ! あられちゃんが見たことない姿にっ……なってる気がするっ!」
コメント
:溶けちゃった……
:まあ今に始まったことじゃない
:ドロドロだぁ……
:とけましたぁ……
:踊ったり溶けたり忙しいやつだなw
:(。⌓°꒷꒦⎞トケマシタァ…
「あられちゃん、そういえばさっき何か言おうとしてなかった?」
……はっ!
危ない危ない! ちょうど今カミングアウトしようとしていたのだった!
「いやいや、なんでもないですよー……」
「んにゃあ? ほんとかにゃー」
本当に間一髪……ギリギリで首の皮一枚繋がった……もしかして、きういは配信の切り忘れをわざわざ伝えに来てくれたのだろうか。
ポッと胸の中が温かくなる。
キウイ イイヤツ !
いや、でもきういと話さないならまずカミングアウトしないだろうし……となると……うむ、難しい。
ここは素直にきういに感謝しておこう。
「おしえてくれてありがとう! きういおねえちゃん!!」
「おねっ!!! きゅっっっきゅんっっっっっ!!!!!!!!!」
コメント
:か! かわいすぎる!!!!
:破壊力!!!
:俺もお兄ちゃんって呼ばれたい……
:きういの姉貴だけずるいでやんすよ!
:ずるいでやんす!!!
:私、女に生を受けたことに感謝いたす……でも名前呼びはずるいよきうい姉!!
:ずるいでやんすよ!!!
:やんすやんす!!
「お姉ちゃん呼びさいこー!!! ……な!? なんかコメントがヤ○ザの舎弟みたいになってるよ!?」
「きういさんのせいです」
「えぇー!? てかもうお姉ちゃん呼び終わりなのぉー!?」
「月額5000円で」
「有料……!? 検討するね……」
コメント
:高ぇぞwww
:検討するなよw
:これは何活? アネ活?w
:まあまあ、メンバーになればシチュボが聴けるんだから
:お兄ちゃん呼びの夢も、そう遠くはないようだな……!
:俺、現代に生まれてよかったよ……
となんやかんやだべっていると、あっという間に時刻は23時を回ってしまった。
「ごめんなさい! そういえばきういさん、この後はいしんがあるのに……!」
「は! そうだった!! じゃあ今度こそまたねー!」
「あ、ありがとうございましたー! み、みんなもばいばーい!」
というわけで今度こそ配信を閉じて念入りに確認した……よし……はぁ……もう限界だ。反省会は明日にして今日はもう寝よう。本当はきういの配信をちょっと覗いてみたかったが──
"きうい"って呼び捨てはまずいだろうか?
一応関わりのある先輩な訳であるし、結構良い人だと分かったし、何よりさっきの恩があるし……やはりこういうのは敬意で表すべきだ!
……心の中では、"きうい姉"とでも呼んでおこうか。
あれ? そういえばきうい姉の配信って、どんなことをするのだろうか。すっかり聞くのを忘れていた。
ディンドン ディンドン ガチャ
「逆凸きかくぅーー!! さっきぶりだねぇーあられちゃーん!!」
……まだまだ寝ることは出来ないらしい。
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第二十四話読了ありがとうございます!
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