表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/188

#19.踊ってない夜を知らない

 

 私がそのボタンをクリックしたと同時に、突然、甘姫あられの首が90度回った。


 訪れる沈黙。放送事故? いや違う。


 その瞬間、甘姫あられは荒ぶり始める。

 首は90度に曲がっていながら顔は満面の笑み。それでいて両腕を伸ばしたまま高速回転させ始めた。顔面を中心に公転する両腕。散開する白銀の長髪。

 その様子はまるで……"散りゆく(フォーエバー・)(チェリー)"!!!


「ぶはっふぁおっ!! な、なに急に〜! ぶ……ふぶぁ!!」


 どうやら配信画面を開いていたらしいきういが口に含んだ酒を吹き出して笑い転げる。


「え! なにこれーー!!! と、止めてええええ!!!!」


 コメント

 :草すぎるwwww

 :なんだよこれwwwwww

 :絵面やばwww

 :草草草

 :大草原www

 :やばすぎwww

 :なんでこんなこと起こるんだよwww

 :草www

 :ミラクルwww

 :やっぱ持ってんなぁwww

 :神回だぞー!!!www


 そう、私の強みは、高クオリティな配信を安定して届けることじゃない。

 何も持っていない、配信の女神に愛されたことの無い私が、唯一誇示できる強み。

 それは、偶然(ミラクル)を必然に起こすこと!!!


 これは夜な夜なプログラムして準備した、言わば踊るマリオネット。いつも凛として佇む甘姫あられに突然バグのような挙動をさせることで、特大の笑いを誘うという秘密兵器だ。

 しかし、これはあくまで()()に起きた正体不明のバグであり、使用できるのは1度だけだ。それでも今ここで消費する価値がある。この何万人の視聴者を一斉に私のファンへと引き込める、とてつもないチャンスだからだ!


「ちょっ、ちょっとぶふぁっあられちゃん……いひいっそれやめてぇーふははぶふぉ!!!」


 コメント

 :笑い方よwww

 :なんて品のない笑い方www

 :吹き出してるww

 :ぶふぉ頂きました!

 :草

 :酒が飛ぶぞwww


 くっ……ここまでしても話題を持っていかれてしまう! ならば!


 今度は更に両腕の回転速度を上げ、それに加えて全体を七色に変色させる。


「どっひゃあぶははぁらひゅうぇほぉうぅ!!!!!」


「ど、どうなってるのこれーー!!!」


「もぉ……もうやめてぇえ! お腹がぁちぎれるうぅ!!!」


 コメント

 :草

 :草

 :草

 :草

 :草

 :草


 しばらくの間、コメント欄は草の一文字で埋まり続けていた。





「いやぁ、笑いすぎてほんとに死ぬかと思ったよー……」


「すみません!!! じぶんでもなにがなにやら……」


 コメント

 :面白かったw

 :これは新たな原石を見つけてしまったようだ

 :俺は前からあられならやれると思ってたぞ(?)

 :面白すぎwww

 :紛うことなき神回w

 :新たなスター誕生w


 というわけで、何とかきういに一矢報いることが出来たようだった。


 ……のだが、私はどうやらとことん配信の女神に嫌われているらしい。


「……もう、さっきから笑い転げてどうしたの?」


 いや、むしろここまでくれば好かれているのだろうか。


 PCが伝える通話音から聞こえたその声には、よく聞き覚えがある。


「ルナっちー!? もう来ちゃったのー? 今ねーすっごい面白いことがあってねー──」


「ええ、知っているわ。さっきまで配信を見ていたから。甘姫あられちゃん、だったかしら?」


 その声の主は、私が聞き間違えていない限り──現在のVTuber界を牽引する、頂点(トップ)の中の頂点(トップ)


 ライバース1期生兼株式会社ラナンキュラス社長。


 VTuber"四強"が1人。


星乃(ほしの) ルナよ。よろしくね」


 生ける"伝説(レジェンド)"だ。


 現在の登録者数:131,001人(4,948人up⤴︎︎︎)


***

第十九話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


あなたの意見を聞かせてください!お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ