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#17.怪物は虎児を喰らう

 

 現在のエンタメ業界で一番HOTとも言える業界、VTuber業界。しかし、この業界は未だ発展途上中であり、日本で活動する登録者数200万人超えのVTuberなど、数十人程しか存在しない。


 そして更に驚くべきことには、その数十の精鋭の中で、鬼透きうい──彼女は最も活動期間が短く、たったの1年8ヶ月で今の地位に上り詰めたということだ。

 彼女は初配信直後に登録者数10万人を達成し、それから僅か17日で登録者数100万人を達成した。正に、今現在で一番注目されている大物VTuberだ。


 彼女から連絡があったのは、10日程前。

 突然にSNSアカウントで彼女から"コラボしたい"旨のメールが届いた時は目を疑った。それと同時に少し腹が立ったが。


「ちょっとー! あられちゃんしっかりしてよーもう」


 勿論、彼女はその声も天性のものであり、親しみやすいかつ心地よい絶妙な声質、表現するならばまるで──ウイスキーのような芳醇な声!!

 ……お酒を愛し過ぎて常時ガラガラ声なのが玉に傷だが……


 コメント

 :草

 :いつものあられだw

 :コラボ相手えぐw

 :うちのあられがぽんこつですみません

 :きういだああーーーーー!!!!

 :きういきたぁぁー!!

 :草

 :草

 :推しと推しが絡む、だと……!?


「ほんとうにごめんなさい!! どうか……どうかお慈悲をーー!!」


 まさか、最前線のVTuberにこんなに早く対面できるとは、思ってもいなかった。


「ちょっとー! 別にいいよー私をなんだと思ってんのー」


 ……良く言う。


 コラボ配信。

 コラボ配信とは、配信者同士が関わり合い、何らかの企画を一緒に撮影し配信するというものである。このコラボ配信という配信ジャンルは群を抜いて人気があり、推し同士が絡んでいる……尊い……と興奮する視聴者も少なくない。


 ……が、このコラボ配信は、ゆるく楽しくお互い仲良く頑張りましょう、なんて甘い配信では決してない。いやむしろその逆である。


 例えば、同じ企業のVTuber内での、または実力の似通ったVTuber同士でのコラボ配信なら、お互いの相乗効果が見込めるとても良い配信になるだろう。

 だがしかし、それが他企業同士、実力差が大きく開いたVTuber同士ならどうなるだろうか。


 他企業同士となると、そのコラボ配信により自身のファンがコラボ相手に移ってしまう可能性がある。いわゆる"推し変"である。

 "俺は一生この子を推すんだぁー!"なんて決心しているファンは数少なく、その時々の気分で視聴する配信者を変えているファンが殆どなのだ。"推し変"など切っ掛けを与えてしまえば、容易に生じてしまう。


 また、実力差の開いたVTuber同士のコラボ配信は更に悲惨である。勿論、今まで日の目を浴びていなかった配信者に大物が絡むことで、無名配信者が一晩で大量にファンを獲得し中堅配信者となる……なんて構図はいくつも存在する。


 だが、これが私のような最近勢いのあるVTuberや、または企業系のデビュー2〜3ヶ月の新人VTuberとなるとまるで違う。


 たとえ勢いがあったとしても、蓄積される配信時間とそれによる経験は簡単に覆せるものでは無い。そうなると、まだ配信が不慣れで未完成な新人よりも、安定して面白い配信を届けるベテランの方に軍杯が上がるのは至極当然のこと。

 それに加えて、ベテランを応援するファンには過去から支援しているファン──古参ファンが多く存在しており、彼らはその配信者から比較的離れにくい特性を持っている。


 つまりは、ファンが増えないだけならまだしも、逆にファンを奪われてしまうことすら多々あるのだ。

 幸か不幸か、鬼透きういは通なVTuber好きとして勢いのある数々の新人VTuberによく声をかけてコラボをする。

 その新人達の全員が今や勢いを無くし、失速してしまっているのが現状であり、私の理論が正しいとする証明なのである。


 声をかけられた時、嬉しさと同時に腹が立った。

 きっと私のような新人のVTuber達が、憧れのVTuberに関わることが出来る、と目を輝かせ、胸を踊らせ、コラボを快諾する。

 そしてその先に待ち受けるのは──彼女に全てを食べ尽くされ、カスカスの骨だけが散乱する見るに堪えない惨状。


 つまり、私にとって彼女は、期待の新人に血の匂いを嗅ぎつけ舌を出してやって来る"鬣犬(ハイエナ)"。

 そして、彼女にとって私は、養分を蓄えた格好の"獲物(ターゲット)"。


 ただし、私が大人しく喰われるような獲物だと思っているのなら大間違いだ。


 これは絶命の"危機(ピンチ)"であり、同時に絶好の"好機(チャンス)"でもある。


 私はこのコラボ配信で、彼女を上回り、そして"喰う"。

 今に見てなさい鬼透きうい。すぐにその腐りきったハイエナ魂に噛み傷をつけてやる。


「さあ、ざつだんを始めましょうか!」


 現在の登録者数:123,121人(36人up⤴︎︎︎)


***

第十七話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


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