#16.怪物が姿を現す
「……というわけで、きょうは5万人記念けん10万人記念けん収益化記念けん一ヶ月記念配信なんですがー、この30分たのしんでくれましたかー!?」
コメント
:うぉーー!!
:おおお!!!!
:楽しんでるぞー!!!
:もちろーん!!!
:記念多すぎw
:いええええぃ
:さいこー!!!
:うおぉぉ!!
「歌枠はここまで、で! ここからはあるとっておきをご用意しております!」
コメント
:とっておきだとお!?
:うおおお!
:歌まじで上手かったよ! また聞きたい!!
:とっておききたぁあ!!
:今宵は宴だァ!!
:一体何が待ち受けてるって言うんだ!!
:最高だぞぉーあられー!
視聴者も良い感じに盛り上がってきているようだ。
さあ、遂にとっておき披露……と行きたいところだが、その前に少しだけ、VTuberの歴史について説明させてもらおう。
VTuber。
バーチャル世界という枠組みの中で活躍する彼彼女らは、とあるたった1人のVTuberから始まった。始祖と呼ぶべき彼女が絶大な人気を博してから、瞬く間にVTuber市場は展開していった。
インターネットでは、当初頭角を現した者達に、VTuber四天王や裏四天王など、様々な名称で伝説として名が刻まれ始める。
更に3Dから2D、動画投稿からライブ配信、など、その後のVTuber業界の形そのものを大きく変えてしまうような、歴史的大革命が次々と起こり、規模と可能性を広げ、現在もまだその行く末は誰も予測出来ないほど未知のものである。
しかし、躍進と衰退は表裏一体であり、過去にVTuber四天王として崇められていた者達は殆どが活動を休止し、現在もその名を業界内に轟かせている者はそう多くない。次第にその者達の存在を知る人は少なくなり、やがて忘れられていく……
わけではない!
活動を休止、引退した後であっても、彼彼女らの残した伝説は、情熱は、革命は、バトンのように受け継がれ、次世代の憧れとなり未来を形作った。
そして、現在このVTuber業界を牽引する超人気ライバーは、"四強"としてこの電脳世界に君臨している。
また、"四強"と呼ばれる者達以外にも、日々活躍を見せるVTuberは決して少なくない。そしてその大半は、企業系グループVTuberである。
私のように個人で活動するのではなく、企業の下でグループとして幅広く活動するのが、現在のこの業界の主流となっているのだ。
「そのとっておきっていうのはー……なにをかくそう、なんとこの方がゲストとしてきてくれましたー!!!!」
私はそう言って、通話アプリから彼女と電話を繋げる。そして、彼女から送られてきた2Dキャラクターを用意し、画面に表示する準備を進める。
紅色のショートカットが良く似合う、小悪魔を思わせる可愛い猫顔。
コメント
:おおお!!!
:遂にコラボか!!!!!
:まじか!!!
:これは嬉しい誤算!!!!
:コラボ!!!!
:初コラボじゃん!!!!!
:きたあぁーーーーー!!!!!
:誰!?
:誰が来るんだ!?
現在も常に業界の最前線で活動する企業の一つ、株式会社ラナンキュラスが運営するVTuberグループ"ライバース"。
「うぃーすどうもぉー」
総勢24名の大規模グループの中で4期生としてデビューし、同時に業界全体を震撼させた。
登録者数、2,170,853人。
「ライバース4期生のー鬼透きういでーすぅ」
「……あ、すみません! まだミュートのままでしたぁー!」
闘いが、始まる。
現在の登録者数:123,085人(98人up⤴︎︎︎)
***
第十六話読了ありがとうございます!
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