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#14.くすぐるは助かる

 

「この前あられちゃんが配信でカラオケの話しててー、行きたくなっちゃったんだよねー」


「私も丁度歌の練習をしてみたかったから、誘ってくれて嬉しいわ」


 フフっとチカが何やら嬉しそうに笑う。余程カラオケがしたかったのだろうか。


「じゃあ! 早速歌っていこー!」


 私達は受付を済ませて、二人にしては少し大きい、ミラーボールの備え付けられた部屋に入った。


「ねえチカ、曲ってどうやって予約するの?」


「このパッドから入力できるよー!」


「マイクが反応しないのだけど」


「……それはここのスイッチをオンにすれば出来るよー!」


「採点? これは何?」


「…………どれだけ上手だったか点数をつけてくれるよー!」


「このタンバリンとかって何に使うの?」


「………………」





「ええ!! カラオケ初めてなのーー!?!?」


「だからさっきからそう言ってるじゃない」


 チカは信じられないとも言いたげな顔でこちらを見る。


 何を隠そう、私は今日がカラオケ初体験である。

 そもそも、以前はカラオケなんて歌の上手い人が承認欲求を満たす為だけに行くものだと思っていた。

 正直、自分が歌いたい時はその曲を流して一緒に歌うだけで十分だし、カラオケで素人の歌っているのを聞く位なら家で原曲を聞いていた方が遥かに有意義である。


 しかし、今の私は近い未来に歌枠を控えている。

 大勢の人に歌声を聞かれるのなら、やはり他人の意見は必須。カラオケが最適解なのだ。


「きっとあまちゃんの事だから、カラオケなんて承認欲求モンスター達の集う魔窟〜だなんて思ってるんでしょー?」


「そこまでは思ってないけれど……否定はしないわ」


「んもう! あまちゃんはカラオケのカの字も分かってないよ! ……仕方ない。今日は私がカラオケの楽しさを伝授してしんぜよう!」


 という訳で何やかんやあり、ピザ(チーズ盛り盛り森のマルゲリータピザ¥4,980)をかけて得点で勝負することになった。


 先行チカ。


「私のオタク魂を全力で燃やしてやるぜぃー! すぅーっ……ドッキドキしてーるーーーじゅ!」


 得点、87.612点。

 私はピンと来ないが、チカの満足気な表情を見るにこれは高得点らしい。


「さぁ、あまちゃんの魂も見せてごらんなさーい!!」


「言われなくても見せてあげるわ! すぅーっ……君 が ぁ 代 ぉ は〜」


「なんで君が代!? 中止中止! そんなんで高得点狙おうとしないの!」


 くっ……君が代は短く曲調もあまりに変化しないから高得点を狙いやすいのだが。

 ……いや、私の今日の目的はピザではなく歌の感想! なら目先の得点なんて気にせず配信で歌う予定の曲を選ぶべきだ。危ない危ない。恐るべしピザの魔力。

 さて気を取り直して……


「風 の 強さが ちょっ と 〜」


「う、上手いだとおーっ……!? これじゃ負けちゃうかも……ならばアレを使うしか…… 」


「麦わ ら の 帽子の き──ちょっ、ちょっと!」


「必殺・こちょこちょの術ー! ほぉらこちょこちょー」


「必殺も何もただの不正じゃない……きゃ!」


「ほれほれー歌わねばピザは私の物になってしまうぞー?」


「んー! あれはんっ 空があっ まだ くぅ 青い 夏 のんあー!」


 くすぐったくてっ……お腹が……!


「もうだめえええええええ!!──」


「お客様ー、ご注文のフライドポテトでございま……」


 ……


「「た、頼んでないです……」」





「もう! チカのせいで恥かいたわよ!」


「ごめんーちょっとやり過ぎちゃったー」


 チカから差し出されたマルゲリータピザをひとかじりして、私は頬を膨らませる。

 あの時は相当恥ずかしかったのだが、えへへと苦笑いを浮かべるチカを見ていると、何故か仕方がないという気持ちになってしまう。憎めない子だ。


 それに……カラオケの楽しみを少し理解出来たかもしれない。きっと、何が有意義とか欲求を満たしたいとかではなく、かけがえのない人と共に全力で歌うのが、楽しいのだろう。

 それは、今までの人生で私があまり経験したことのない──


「……チカ。まあ、ちょっとは怒ってるけど、カラオケの楽しさ? 分かった気がするわ。誘ってくれてありがとう」


 チカの口角が先程よりも更に上がって満面の笑みに変わる。キュン……とはしなかったが。


「……ふむふむ。もしかしてあまちゃんってMなの?」


「違うわよ!」


 私は心の中でキュンとしなかった自分を褒め讃えた。


 そして遂に記念配信──


 現在の登録者数:120,036人(1,763人up⤴︎︎︎)


***

第十四話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


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