#172.ライバースのライバーズ
「甘姫 あられさんに説得されて……卒業じゃなくて活動休止に変更しようと思い直したんです」
コメント
:おぉ……
:ひとまず良かった……!!
:帰ってくるんだな!? 帰ってくるんだよな!?
:あられちゃんにマジで感謝だわ
:あられ神すぎる……
:よかったぁ……
:でかい
こんな簡単に説得されては、せっかくのラスボス感が台無しだろうか。
でも……それほどにあの言葉は、私に響いてしまった。
"いてくれるだけでいいのに"の心情は、私もこの業界を生き抜く上で、去っていくかつての同胞達に何十回も感じたものだったから……
「お騒がせして本当に申し訳ございませんでした。この唐突な変更に対し、不満を感じる方々もいらっしゃると思いますが……どうかご容赦下さい」
コメント
:そんなのいるわけねぇだろぉ!!!
:ガチで嬉し涙出る……!!
:泣
:泣泣
:ずっと待ってるからね!!
……はぁ……これが、人生初の炎上になるかもしれないな。卒業撤回なんて前代未聞だ。
そう思うと、ふと少しだけ肩の荷が降りたような、そんな不思議な感じがした。
コメント
:まじで神変更だぁ!
:泣
:あられちゃんが有能すぎた……
:やる時はやる子なんです……! 彼女は!!
それはそれとして……やはり、これまでずっと続けてきた配信活動を一時的にでも終了するのは、精神的にクるものがある。
今まで、ノンストップで歩んできた。到底捌き切れないようなタスクを、無理矢理にでも試行錯誤して完了してきた。乗り越えてきた。
そして、それを続けていくうちに、私の無謀を共に叶えようとしてくれる仲間が増えて、私一人では到底来れないような所まで、ライバースは進歩した。
私はもうおそらく、彼女らと肩を並べて表舞台に立つことはないだろう。
……良いリーダーでいられただろうか。
社長という圧倒的権力を持つ者には、どうしても心の壁が出来てしまうことだろう。その壁を少しでも低く出来るように接していたつもりだが、壁を排除してもなお私と彼女らの間に陣取る大きな溝の存在を、私はどうしても取り払うことが出来なかった。
まあ、でも、それでも、やるべきことはやったつもりだ。
ここからは社長業により専念して、ライバースの存在をより大きく──
コメント
:え!?!?
::やっば
:!?
:ガチ!?
:よう見とるってレベルじゃねぇぞ!!!!
:草
……ん? 何やらコメント欄が騒がしい。
私は急いで凄まじい速度で流れゆくコメントを止め、連続下スクロールで何とか遡る。すると、そこには──
コメント
:泣泣泣
《鬼龍 ドラコ》:ルナてんぱーい!! 戻ってくるの信じてマス!
:ドラコちゃん!?
《一二 ミツ》:しゃちょおーー泣泣泣!!!
《楓 カエラ》:いとさみしです……
《御魔笑乃 はあと》:信じて待つですわ!!!!!!
:え!? ナニコレ!!!
:どうなってん!?
《忍座 シノ》:時には休息も必要です……!!
:しのちゃーーーーん!!!泣泣泣
《音階 ドレミ》:いてくれるだけでも、十分すぎるんです……!!!!
《火火 すぴか》:あられさんに感謝……!!
:すぴすぴ!!
《恋乃 ラビ》:同期にぐらい相談しろっつーの!!!(怒) ずっと待ってんぞ!!
:一期生アッツ!!!!
《舌切 すずめ》:今まで本当にありがとうございました……!! 復帰後絶対コラボしましょう!!!
《超強い騎士 メテオ》:後は私に任せろ!!!!!!!!!
《悪魔 デヴィ》:泣泣泣泣泣泣
《桃園 タロ》:先輩!! 今度ご飯食べに行きましょう!!!
《メドウィン・じゃぱ》:この前のコラボ雑談楽しかったです!! 絶対またやりましょーっ!!!
《檻織 トーチャ》:本当に卒業だったら檻の中に閉じ込めて監禁するところでした……♡
:ヒィッ……!!!
:ヒェ……
:こっわ
《乙姫 ルミ》:後は任せてくださいっ!!!
《仲摘 ヨノ》:世の中詰みだぁ……でも先輩の分まで頑張りまぁす……
《水星 なの》:お世話になりましたなの!! 後メテオは敬語使えなの!!
《花陽芽 ユリ》:ゆっくり休んで下さいっ!!!
《嵐乃 めめ》:明日ご飯奢れ、な? 絶対な?
《兎兎 ラメ》:クソお世話になりましたぁっ!!!!_|\○_
《未未 めい》:私に名前付けるまではいなくならないって言ったじゃないですかぁ……泣泣 でもゆっくり休んで下さい!!!
《海乃 ハルカ》:ルナ、ゆっくり休め
:ライバース全員集合じゃけぇ!!!!!
:一期生達の言葉が涙腺にくる……泣泣
:はぁ!? ヤバァ!?!?
:よう見とる×23だと!?
:これがルナの力っ!!!
:泣泣泣泣泣
:ルナの人望が垣間見えるなぁ
:さすが我らが最推しっ!!!
……一生の不覚……一瞬うるって来ちゃったじゃない……!
「皆……ありがとう。でも別に休むわけじゃないわよ!? 社長業務に専念するだけだから、普通に働くわよ!」
コメント
:えぇ……
《海乃 ハルカ》:黙れ!! 休め!!!!
:草草草
:草
:ハルちゃん往生際悪くて草
……ただ。
またいつか、VTuberとして復活したい。
そう思えてしまった半分の私が、私はとても誇らしかった。
***
第百七十二話読了ありがとうございます!
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