#158.世代は引き継がれる
私が……ライバースの、新しいリーダー……?
「ち、ちょっと理解が追いつかないんですけど……私を受け入れるために、ルナさんは卒業するってことですか?」
私の発言に、ルナはゆっくりと首を振る。
「私は元々から後継者を探していたの。実はね、かなり前から社内でライバースの海外展開が言われていて、やっと最近それに力を入れる方針になったの。だから、自然と海外へ視察に行くことが多くなる。そうなると、VTuberの活動を続けながら、国内のグループをまとめあげるのは難しい……」
「つまり、状況的に配信することが出来なくなるから、いっそ卒業するってことですね?」
ルナは今度はコクリと頷いた。
そうだった。平然とやってのけているが、まず社長とVTuberを両立させていること自体が化け物だったのだ。
ライバースは、VTuberグループとしては少しばかり特殊だ。
このグループはアイドルにかなり重点を置いており、配信だけでなく公演を大事にしている。
月に一度、日本各地で公演を行うVTuberグループは、おそらくライバースのみであろう。
だからこそ、ライバースの海外進出はかなり難易度が高い。
VTuberのあの特殊なライブを行える、高い技術力がある施設を複数確保し、その施設でのライブに積極的に参加出来る逸材を探し出し、更にはまだ浸透していない海外で手探りのなか知名度を上げなければいけない。
そんな茨の道を歩みながら、日本の状況も逐一確認して、更に視聴者を楽しませられるような高品質な配信も行う……など、仏であっても手が足りないだろう。
「だから、私は卒業を選んだわ。本当はソロライブ形式で応援してくれる人達にしっかりとお礼をしたかったけれど……もう流石に時間もなくなっていて。だから、このサマーフェスで賭けに出たの。これを見て」
そう言って、ルナは私にとって一枚の紙を渡した。そこには、人気投票でのデータと分析が掲載されている。
「投票する時、ライバースを好きになった時期と自分の推しを同時に入力してもらうことになっているの」
紙に掲載されているデータを読み取ってみると、星乃 ルナに投票した人の推しは一期生二期生を中心にしており、甘姫 あられ率いるユニットに投票した人の推しは三期生から六期生が主になっている。
「そのデータから分かる通り……星乃 ルナに投票した人はかなり初期の人達、それに比べて、甘姫 あられさん達は、最近に応援し始めた人達を始め幅広い層を支持を沢山受けていたわ。これはつまり、新規層の多くがあなたを支持したということよ」
「なるほど……」
もしこのデータが本当なら──まあ、捏造はしていないとは思うが──かなり嬉しいことである。業界での先導を切り開く者は、常に新規層からの厚い支持を持っているものなのだ。
「あられさんはまだ未成年だし、VTuberと学校生活を両立するのは大変かもしれない。部外者だったあなたが突然ライバースのリーダーになるとなれば、不満を漏らす人もいるかもしれない。
でも、この一ヶ月間の、あなたのインターン中の活躍を見て私は確信した。あなたならきっとそれらの課題も乗り越えられる、と」
何だこのベタ褒め……それほど期待されているということか。
VTuberの最前線をいくグループ・ライバースのリーダーへの大抜擢。将来、VTuberの一番上を目指すなら、これはとてつもない近道になる。
だからもう一度言うわ、と星乃 ルナは続ける。
「甘姫 あられさん。次世代を担う新しいリーダーとして、ライバースに加わってくれますか?」
「はい! 丁重にお断りさせていただきます!」
でも、そんな言いなりになってたまるかぁっ!!!
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