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#157.甘姫 あられは提案される

 

「まず、順序立てて説明するわね」


 右手のコーヒーを机にコンと置いたルナは、姿勢を直して私の方に向きなおる。


「甘姫 あられさんには、これから正式にライバースの一員として、VTuber界を共に盛り上げて欲しいわ。まだデビューして間もないのに、具体的な向上心と人気を勝ち取ることへの貪欲な執着、更には業界の先を見通す力──いわゆる"先見の明"を持っている……あなたは配信者として必要なものを全て備えているわ。立派な逸材よ」


「あはは、それほどでも……でも、それだけじゃ納得は到底できませんよ? 何であんな勝負を?」


 勝負とは、要約すると、"サマーフェスの人気投票で一位にならなければライバースをクビにする"という星乃 ルナの声明のことである。


 先程のルナの発言のように私のことを高く評価しているのなら、わざわざ無理難題を押し付けて自分から遠ざけようとする理由が分からない。


「あれはね……私にとってもかなりの賭けだったわ。人気投票一位なんて、最近デビューした新米が到底達成出来るようなものじゃないし、何なら初期から経験を積んでいる大御所ライバーだって、そう簡単に取れるものじゃないわ。だから、賭けだった。甘姫 あられというスターの原石を失うことになるかもしれないのだから」


 でも、と彼女は続ける。


「でも、もしそれを乗り越えたら。更には、本気で一位を取りに行った私のライブすら超越する人気を甘姫 あられが手にしたのなら……それは、凄いことだわ」


「それを成し遂げちゃったんだな〜、あられちゃんは」


「……えぇ。あっぱれよ。本当に。そして、ある意味期待通りだった」


「どういうことですか?」


「私、元々あなたのことは"頭が良い"と思っていたの」


 ギクッ……としようとしてやめる。どうせ、この人には筒抜けだろうし。


「私はね、"賢い"と"頭が良い"を区別しているの。前者はただ単に勉学が出来る人、要はIQが高い人。でもね、これはそんなに重要じゃないの。重要なのは後者。後者は、EQが高い人。私はそう定義してる」


 EQとは、精神的な知能指数のことだ。単純な頭脳とは別に、精神面でどれだけ知的かを数値で測る。


「難しい言葉を使えばいくらでも表現出来るけど、内容は実に単純、つまりは優しい人。人を尊重できる人。何事を大切にする人。相手を想って行動出来る人……当たり前を当たり前に出来る人」


「なんか……突然、道徳の授業みたいなこと言い出しますね」


「ふふっ……悪いけどもうちょっと付き合ってちょうだい?」


 きうい姉の大きな欠伸を横目に、私はルナの話に耳を傾ける。


「こういう"頭が良い"人はね、社会には案外少ないのよ。まあ、感情をコントロール出来ないような"人間的側面"が上手く魅力に変わることもあるから、一概には言えないのだけれど……でも、やはりリーダーはこれに当てはまらないといけない、と、私は思うの」


「ルナっちのその考え方、私は好きだよぉ〜」


 ルナは、ありがとう、ときうい姉に微笑んでみせた。


「あられさん。あなたは"頭が良い"。当たり前のことを当たり前に出来る。でも、それだけじゃない。あなたは、あれだけ引っ込み思案だったすぴかの才能を開花させて、素人のはずである演出分野も監修して、結果大勢の人々を感動させたわ。これは間違いなく、次世代の()()()()の片鱗よ。この業界を先頭で引っ張っていく、ナンバーワンの」


 簡潔に纏めるわ、と言って彼女はコホンと咳払いを挟む。


「あられさん。あなたには、()()()()()()()()()()()()。ライバースの新たな()()()()になってくれないかしら?」


 現在の登録者数:550,104人(26人up⤴︎︎︎)


***

第百五十七話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


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