#155.すぴかは溶ける
「えっと……実はかくかくしかじかでして……」
私がこれまでの経緯を説明すると、すぴかは信じられないという顔でこちらを見る。
「……そそそそ、そんなこと、してたんです、か……? それに、私以外みんな知ってる、って……つまり、ぼっち……」
「えぇっとー!! すぴかさんにプレッシャーかけたらまずいかなってー!!! 決して仲間外れにしてたわけでは……!!」
「……いえ……分かってます……経験、豊富ですから、私……つまりは……"私みたいなモブは話す価値無し"……ってことですよね……」
「ぜんぜん分かってない!!!!」
一体どういう思考回路でその結論に辿り着くんだ!? いくら陰キャと言えどさすがにネガティブが過ぎる……!!!
すぴかは私の両手にダランと体重を預けて、無気力にボソボソと呟き始める。
「……そう、ですよね……友達って思ってたのも私だけ、ですよね……こんな陰キャと友達になりたい人なんていません、よね……ごめんなさい……あぁ何を自惚れてたんだ、私ぃ……さっきのセリフとか痛すぎるぅ……辛い……死にたい……」
「ちょっとー!! すぴかさんおちついて──って、え!? か、顔が溶けていくっ!?」
その衝撃の光景に私は絶句する。何と私の手中にあったすぴかの顔が、まるでロウソクのようにドロドロと溶けていくのだ。
「あられちゃんまずいよっ!! ソレに触れたら……」
「う、うわああああああ!!! ……き、きうい、さん……う、スーッ……」
「あぁ……あられちゃんが陰のオーラに当てられて陰キャになっちゃったぁ!!!」
「あの……さっきから皆さん、何してるんですか?」
頭にハテナを浮かべるマネージャー柏木の発言によって、すぴかの体は瞬時に固形の状態に戻り、私はネガティブオーラから解放される。
ふぅ……助かった……あともう少しで脳内をすぴかウイルスに侵食されて、根っからの陰キャに魔改造されるところだった……
「柏木ちゃん? VTuberっていうのはね、時に意味の分からない茶番をやりたくなるものなのだよぉ……」
「へぇ、そうなんですか……それは、災難ですね……」
きうい姉と柏木の会話を小耳に入れながら、私はすぴかのほっぺたをムニュムニュして遊ぶ。
すると、彼女は私の手を優しく払って、少し暗い顔で俯いた。
「あの……甘姫さん……」
「……不仲みたいになるので名字よびやめてくださいね。どうしたんですか?」
「やっぱり……私、気になります……ルナ先輩って、VTuber辞めちゃうん、ですかね……?」
その彼女の一言に、私はふとその件を思い出す。
一位になれたことが嬉しすぎて、そのことがすっかり頭の中から抜けていた。
「どうなんでしょうか……私も気になるところではありますけど……」
と言いつつ、私はきうい姉の方に視線を向ける。
恐らくこの件で当事者の意見を最も良く知るのは……きっとこの女だ。
そんな思考を読み取ったのか、きうい姉もこちらに顔を向けて口を開く。
「じゃあ、本人に直接聞きに行こうかぁ……ね? あられちゃん?」
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遂に最終決戦!?
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