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#148.星乃 ルナは旅立つ

 

 それから特に目立ったことはないまま、ライブは終盤へ差し掛かった。


 スマートフォンを利用した演出もこれまでらしく、各々マナーモードにしてスマートフォンをしまってください、との指示がスクリーンに表示される。


 その間、星乃 ルナの姿はどこにも見当たらず、観客はすっかり冷静さを取り戻してしまった。

 私はそれに思わず歯がゆくなる。


 流石に無駄が多すぎる!! 自分のライブではないけれども、つい口出ししてしまいそうになるくらいにはもどかしい!!!


 ルナのことだから何か狙いがあるのだろうけども……本当にあるのよね? 信じていいのよね!?


 ……いや、狙いなんてなく、彼女の単なるお粗末であるならば、それが実は一番良いのだが。


 このような私の葛藤は、勿論粉々に砕かれることになった。


 スクリーンが暗闇から解放され、直ちに木製のステージに立つ星乃 ルナの姿が現れる。

 彼女の衣装は、先程まで着ていたものとは異なる、制服を基としてそこにアイドル要素をプラスしたデザインのものに変化していた。確かこれはルナの初期衣装だったはずである。


 そんな衣装にステージの質感も相まって、まるで体育館の舞台に立つ一人の女子高生に見えてくる。

 まあ、溢れ出ているオーラは尋常じゃないが……


「あ……られさん……あの……」


 と、突然すぴかが話しかけてきた。

 コールアンドレスポンスの時でさえまともに声が出ていなかったのに……自ら話しかけてくるとは珍しい。


「どうしたんですか? すぴかさん」


「あ……あの……私の、思い違いだと思うん、ですけど……これって……そ……うとかじゃ……い、ですよ、ね?」


「……? いまなんて言いました──」


「もし」


 私達の会話がルナの一声によってかき消される。


 すぴか……何か伝えたがっていたようだが……そういえば、ライブが始まった時に"嫌な予感"がするとつぶやいていたが、それと何かしら関係のあることなのだろうか。


 悶々としながらも私はスクリーンに再び目を向ける。

 まあいい。どうせすぐに分かることだ。星乃 ルナの話を聞けば、すぐに。


「もし、ライバースを結成しなかったら。もし、同じ道を歩んでくれる仲間がいなかったら。もし、応援してくれる皆さんがいなかったら。私は今ここにいません。株式会社ラナンキュラス社長 星乃 ルナとして、ライバースを支えてくれたこと、ライバースのメンバーを応援してくれたこと、今一度皆様に感謝申し上げます」


 そう言ってルナは一礼する。


「次がラストの曲になります。皆さんも一度は歌ったことがある曲だと思いますので、もし良ければ一緒に声を出してくれると嬉しいです。配信の方々もお願いしますね?」


 コメント

 :はーーい!!!

 :了解!!

 :うぃーっ!!

 :何の曲だろ?

 :任せろーっ!!!!

 :はぁ〜い

 :オリ曲かな? カバーかな?




 :え?

 :え

 :???

 :どういうこと???

 :え、ちょっと待って

 :待って脳が追いつかん

 :何でこの曲?w

 :ビビるんだが……

 :これってそういうこと?

 :いやまだ確定じゃない

 :んぁ??


 どこか儚げなピアノの音色が鳴り響くと共に、観客達はざわつき始める。


 勿論私も例外ではなくて、演奏が始まって数秒の間、口を開けてポカンとしていた。


 処理落ち間際の脳を必死に稼働させればさせるほど、今までの不可解な言動が気持ち悪い程綺麗に繋がっていく。


 聞き慣れたイントロ。ふと想起される別れの思い出、中学時代の記憶。


 日本人なら万人が一度は耳にし、口に出す名曲。


 その曲の名は、"旅立ちの日に"。


 "卒業"の象徴だ。


 現在の登録者数:549,833人(173人up⤴︎︎︎)


***

第百四十八話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


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