#145.勝負球は真っ直ぐ伸びる
ここまでの職権乱用を見るに、星乃 ルナはどうやら、何が何でも私に勝ちたいようである。何なら、私だけでなく……ライバースの誰にも届き得ない輝きを、この二日間の中で飛び切り一番の光を放つ光源になろうとしている気がする。
そこまでに彼女をつき動かすものとは、一体何なのか?
私にはライバース加入権の奪取と、そして初3Dライブの矜恃がある。それに、ここまで大規模なライブをすることは、私のこの先の人生ではもう二度とないであろうことだ。
つまり、ここで一矢報いたい。そういう気持ちが強くある。
一方で、星乃 ルナはどうだろう。
初めは、私が原因だと考えた。私のライバースへの加入を何とかして取り消したいのか、はたまた外部の私に1位を取られるのが嫌なのか。
しかし、どれもあまりピンと来ないし、辻褄が合わない。
彼女からすれば、このライブも毎年恒例イベントのひとつに過ぎないはず。どのライブも全力で挑むのは殊勝な心がけだとは思うが、このやり方は少々強引感がある。私や他のライバーに"ズルい"と指摘されて、他の演者のやる気が削がれてもおかしくない。
そんな荒業のようなことをしてまで……彼女はこのライブの先に、一体何を見ているのか。
その核心的疑問は一向に解決の兆しを見せないままに、ライブは次のステップへと進行していく。
呼出音をベースとしながらどんどん豪華になっていく演奏に続いて、遂にスクリーンが白い光から解放され、スマホに映るのと同じライブ衣装を身に纏った星乃 ルナが現れる。
と同時に、今日一の歓声が爆発的に湧き上がった。
「愛す る コー ル に ラブ を!」
コメント
:うおおおおおおお!!!
:きたあああああああああ!!!
:ルナ様……今日も美しい……
:この曲は!!!!!
:やばい合いの手入れないと汗オッオーー!!
:オッオー!!
:ラブコールきたぁ!!!!
:オッオー!!!
:オッオーーー!!
:神すぎる……
:うおおおお!!!!
:オッオー!!!!!
「返し て みた い と お も う の です!」
コメント
:ぎゃああああああ!!!!
:きたらぁぁぁぁぁぁあぁあ!!!
:かっわいいいいいいいいい!!!!(限界突破)
:生まれてきて良かった……!!!!
:さいこおおおおおお!!!
:生きる理由がここにある!!!
……上っっっ手ッ!!!!!
私達のユニットの中で一番歌が上手いすぴか。その3倍……いや、5倍。歌が上手い。
そうだ。彼女はライバース一の実力派。基礎ステータスがもう半端じゃない。
歌に重点を置いたのか、ダンスはそこまで主張してこないのが幸いだが……いやしかし、この歌声だけでも十分脅威である。
しかも、この曲……星乃 ルナの人気オリジナル曲!! 歌わないことはないとは思っていたが……まさかこんな最序盤から惜しみなく歌ってくるとは!!
やばい。始まる直前こそは意外と余裕に勝てるんじゃないか、などと甘い考えをしていたが、いざ始まってみれば序章のジャブが本命のストレートのように固く重く飛んでくる!!
これが……ライバースNO.1、VTuber"四強"が一人、生ける伝説星乃 ルナの全力……!!!
……いや、待て。
まだ全力ではない。
彼女はまだ、アレを残している。
あまりに奇抜な変化球で翻弄させた後だからこそより映える、直球ド真ん中の勝負球。
解き放たれる……火の玉ストレート──カリスマのオーラが!!!!!
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