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#143.君のそばで彼女は佇む

 

【お手元のスマートフォンをお開き下さい】


 前代未聞のその指示に会場がうっすらとザワつく。


 ライブにおいて、スマートフォン及び携帯電話の取扱は何よりも厳しく制定されている。


 第一に、盗撮の禁止。

 ライブや映画上映などの場で、スマートフォンでの盗撮行為は法律で固く禁じられている。それは後に、ネットにアップロードする等の著作権侵害行為に及ぶ可能性が高くなるからである。

 また、他の観客が映ることで肖像権の侵害になったり、周囲の人の気分を害することになる。盗撮の禁止はそれらを起こさせない為の規約だ。


 第二に、マナーモードまたは電源オフの推奨。

 これも盗撮禁止の理由と一部重なるが、スマートフォンから音が鳴ったり、誰かと通話したりすることによるライブの妨害行為や、周囲の人の気分を害する行為をさせないようにするためである。


 他にも理由を上げるとキリがないのだが、要はライブ中において、スマートフォンの使用が最も犯してはならない最大禁忌である、ということを分かって頂きたい。


 その上で、その最大禁忌をライブ側から推奨するこの展開。会場がザワつくのも無理はない。こんなもの、VTuberが『身元特定して良いですよ』と公言しているようなものだ。


 この前代未聞の指示。一体何が狙いなのか。


 流れ続ける伴奏チックな呼出音を耳に入れながら私は訝しげにスマホを取り出す。

 そのまま画面を表示。と、闇の中で突如現れるスマホの眩しい光に思わず目を細める。


 そういえばライブ会場に入る時、『携帯電話は電源OFFではなくマナーモードに設定下さい』という張り紙が複数見受けられた。これも、ライブでスマホを手っ取り早く起動させるためか。


「んぉ!? なんだこれぇ!? すごぉ〜っ!!」


「……ふぇっ! ……あ、あられさん……コレ……!!」


 すると、先にスマホを開いたらしいきうい姉とすぴかが、ほぼ同時に声を上げる。

 すかさず私もスマホのロックを解除してみる。すると、そこに映る画面に私も思わず声が出た。


 一回目のコール時。

 巨大スクリーンに映されていた着信画面。

 あれが、今度は()()()()()()に映し出されている。


 ……なにこれ!? 一体どういう仕組みで!?


 どうやら私だけではなく、きうい姉やすぴかなど、全ての観客のスマートフォンに一斉に電話がかかってきている、という演出がなされているらしい。そして、その電話主はあの星乃 ルナ。


 私は取り敢えず画面下部に表示されている応答ボタンを押してみる。


 ヴヴヴヴヴ


 その瞬間、スマホが私の手の中で大きく振動する。


 そして、スマホ画面は巨大スクリーンのように白い光に包まれ──


 表示されたものは、無機質な通話画面では無かった。それと同時に、私は全てを悟る。


 なるほど、まさか実践してのけるとは。


 スマートフォンの中で凛として揺れるのは、イエローがかった美しい白色の長髪。

 黒と白のモノトーンで構成される可愛さとカッコ良さを兼ね備えたライブ専用衣装に、VTuber界を背負ってきた伝説(レジェンド)としての風格(オーラ)が混ざり合い、手元の画面から規格外の迫力と、そして至高の魅力が飛び出てくる。


 そう、画面の中には。


 紛れもない星乃 ルナ自身が佇んでいたのだ。


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***

第百四十三話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


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