#141.電波と電波がジを繋ぐ
「うわぁ〜熱気がすごいねぇ〜!」
きうい姉は周囲を見渡しながらそう言うと、関係者席にどすんと腰を下ろす。
私達が案内された関係者席はカメラマン席に囲まれた形で作られているようで、一見しても観客席からかなり離れていることが分かる。
が、それでも伝わってくる熱気。
昨日のライブ中に見た画面越しのものとはまるで異なる、生の熱気である。
正面の超巨大ドデカスクリーン! ! ライブを盛り上げる大量の装飾器具!! 常時放たれる約4万人の歓声!! 震えるライブ会場!!
そこに居るだけで心臓がバクバクしてくる。これから一体何が起こるのか……勝負事とか分析とか、そういったものを抜きにした純粋な期待が、自然と胸に溢れてくる。
ちょっと楽しみ……ドキドキするかも……
なんて思っていると、隣のすぴかも。
「た、たのしみです……! ドキドキしますぅー……」
と、星乃 ルナのぬいぐるみを両手に持ちながら、頬を期待で赤くして同じような気持ちを言葉に零した。
「すぴすぴ、もうただのファンだね〜」
「……だ、だって! わ、私、ライバーである前に、オタクですからぁ……!!」
こうやって二人が会話出来ているのもなんとベストタイミング、丁度今が待機時間中であるからだ。スクリーンは真っ暗闇で、どうやら最終演目が始まるまでまだ少し時間があるらしい。
こういったライブで待ち時間を発生させるのは正直得策とは言えない。
勿論、良い側面もある。観客は待ち時間があることで、その間に余韻に浸って体力を回復することができ、そのおかげで次の演目での集中力をより向上させることが出来る。
しかしその一方、その分これまでの盛り上がりや熱狂がリセットされて、観客は冷静さを取り戻してしまう。
盛り上がりは、ライブをより深く印象づける第一要因だ。そして、ライブの印象は後の人気投票に深く関係する。
勝負の決定に投票という制度を採用している以上、盛り上がりはそう簡単に捨ててしまえるほど些細なものでは無いのだ。
では、一体何が狙いなのか。
ルナがこの重要性を知らないなんてことはまず有り得ないはず。となると、多少の待ち時間が発生してでも行いたい、何か大きな仕掛けを施しているのだろうか。
ふとそのように考えていると、どこからともなく。
プルルルルル
反射的にポケットに手を伸ばすが、自身のスマホがマナーモードに設定してあったことを思い出してその手を止める。
そしてスクリーンに視線を移動させてやっとその音の出処を理解する。
スクリーンには、通話アプリの着信画面を模した画像が映し出されていた。そこには"星乃 ルナ"の文字もある。
ガチャ
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