#140.伝説へと向かう
ストックが……ない……!!!泣
「はぁ〜、いくらなんでも説教長すぎだよ〜……もうライブ終盤じゃ〜ん!!」
「あはは……」
控え室にて、椅子にだらんと腰掛けてうなだれるきうい姉に私は苦笑する。
あの焼きそばパン徒競走の後、スタッフルームに連行された私達はつい先程まで説教を受けていたのだ。
冷静に考えてみるが、あれだけ暴れたら叱られるのもまあ当然だろう。何せ着ぐるみの性能を鑑みない全力走アンドド派手な転倒できうい姉や私の着ぐるみはボロボロになり、更にはきうい姉やメテオが大声を上げたことで中身本物説がSNSで囁かれてしまっているのだ。
私も途中ムキになっていることがあった。結果として念願のアクスタを入手することはできたが、その過程はお世辞にも上出来だったとは言えない。アレで叱らない運営の方が逆に心配なくらいである。
まあ、周囲が撮影した徒競走の動画がバズってトレンド1位になったことは、運営も嬉しい誤算だったとは思うが。
それにしても、久しぶりに説教を受けた。しかもかなりの長時間。猛暑の中での着ぐるみ競走の後にあれだけこっぴどく説教されたわけで、流石の私もこれにはヘトヘトにならざるを得ない。
が、ここからが本番である。
私は控え室の壁に備え付けられたテレビに目を向ける。
そろそろ、か……2日目最終演目、ライバースサマーフェス2024の大トリ 星乃 ルナのライブ。このライブの出来によって、私がライバースに加入出来るか否かが決定する。
ガチャ
控え室の扉が開いて、そこからすぴかが鼻歌を歌いながら入ってきた。
あの場にいた着ぐるみの中で唯一説教を免れた彼女は、どうやらご機嫌の様子だ。体力を消耗し切って椅子の上にすっかり溶けている私達に向かって、彼女はある提案を口に出す。
「……あられさん、きうい先輩……! ラ、ライブ見に行きませんか……?」
見に行く、というのは、会場のライブステージに足を運ぶということだろうか。
確かに、私達が現在待機しているのは会場の控え室であるので、ライブステージまでの距離は近い。そこに足を運べば、星乃 ルナというトップVTuberのライブを生で見ることが出来、それにより得られるものも大いにあるかもしれない。
だが、流石にあれだけこっぴどく怒られた直後に、また身バレリスクのあるようなことをする図太さなんて私にはない。それはきうい姉も同じらしく、私と顔を合わせて苦笑する。
「すぴすぴぃ〜、私達さっきまで怒られてたんだよ〜? もしバレたら今度こそ……うっ、吐き気がぁ〜……」
「……あっ、それなら大丈夫、です……! スタッフさんが、関係者席に案内してくれるって……」
「……あ〜っ、そういうこと〜。それじゃあ……行くっきゃないかぁ!!」
という訳で、私達はスタッフに連れられてライブステージに向かった。
この後、私達は肌で味わうことになる。
星乃 ルナ──VTuber界で数多もの伝説と業績を残してきた紛うことなき怪物の、その真髄と、そして、貪欲さを。
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