#133.水分を補給する
久しぶりの登場なので、ここで今一度2人のことを紹介しておこう。
水星 なの、合法ロリ。
超強い騎士 メテオ、アホ。
説明は異常だ! いや、以上だ!
ええいっ、とにかく時間がないのだ。そんな悠長に人物紹介している暇などない!
私はなのとメテオの隣に並んで、二人三脚のような陣形を作る。
「おぉっ!! あかねじゃないか! 久しぶりだなぁ!」
「あかねじゃなくてあられですーっ!」
私はギリギリ周囲には聞こえないくらいのボリュームで返答する。
まあ、メテオはそんなこと気にせずに大声で話しているのだが……
「メテオさんとなのさんはどうしてはしってるんですか?」
「ハッハー! 実はユリに焼きそばパンを買って来いと頼まれてな!! 何だか良く分からんがもうすぐ売り切れるそうで、こうやって必死に走っているのだ!!」
「なっ!? メテオ! 言っちゃだめなの!」
私の意図に気づいたなのがメテオを止めようとするが、時すでに遅し。私はメテオの言った事を頭の中にインプットすると、着ぐるみに隠れてニヤリと笑う。
そう、ここはもう皆でワイワイするライバースサマーフェスの会場ではない。残り僅かの焼きそばパンを死に物狂いで奪い合う戦場だ。
彼女ら二人が秘宝ヤキソバパンを狙っている以上、このまま見過ごす訳にはいかない。宝の数は限られているのだ。となれば……潰す!!
取り敢えずは一番潰しやすそうなメテオからご退場願おう。
アホなメテオのことだから、どうせ私の言うことも直ぐに信じるだろうが、油断は禁物だ。
取り敢えずは……
「あっ! メテオさん! あついときは水分補給しっかりしなきゃですよ!」
水分補給で足を止める作戦!
私達着ぐるみは、内部にペットボトルをしまうスペースが設けられており、そこから水分を補給することが出来る。
幾らメテオでも油断は大敵だ。余りに適当な嘘では騙されない可能性がある。
そこで、正しいかつ人間の本能的欲求に従った行動──つまり水分補給を誘導することで、彼女にすんなりと受け入れされ、足を止めることが出来るのだ!
「なにっ!? 確かにそうだな!! そう言えば朝から何も飲んでいなかった!」
よしよし、これで一人撃破である。
「メテオ、乗っちゃダメなの! 焼きそばパンが遠のいちゃうの!!」
「なの、何を言ってるんだ! 水分補給は大事なんだぞ!!」
なのが必死に止めようとするが、メテオは一切揺らがずに手元からペットボトルを取り出す。
そうそうその調子、そのまま足を止めて水分補給を……
……ん?
待て待て。着ぐるみの場合、ペットボトルは内部に仕込んである。
だから本来、私にはペットボトルを取り出す姿は見えないはず。しかし、今着ぐるみの手にはペットボトルが握られている。
着ぐるみの手にはペットボトルが……
着ぐるみの手には!?!?
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