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#131.持つべきものは有能スタッフ

 

 しかし……暑い……暑すぎる……


 実際問題、この猛暑の中を着ぐるみで移動するのはかなりの重労働だ。が、これもアクリルスタンドの為。我慢するしかない。


「ぅいっちに〜さんし〜」


 と、後ろで体操の掛け声のようなものが聞こえてくる。

 この声、どこかの酒飲みライバーと瓜二つだが……まさか……


 バッと振り返ってみると、そこには鬼透 きういの着ぐるみ──ではなく、虹色のアフロを装着したきうい姉が元気に体操していた。

 レインボーアフロ……流行っているのか……?


 私は素早く彼女に近づくと、小声で耳打ちする。


「ちょっときういさん! なにしてるんですか!!」


 すると、きうい姉も体操を中断して返答してくる。


「なにって見たらわかるでしょ〜? 準備運動だよ〜」


「そういうことじゃなくて! 何で着ぐるみ着てないんですか!? 身バレしますよ!!」


「あられちゃあん、あんなの律儀に守ってんの〜?」


「……えっ!?」


「こ〜んな暑い日に着ぐるみとかどうかしてるよ〜、そんなことしなくても変装さえしてればだいじょーぶだって」


「いやいや! バレたらどうするんですか!」


「あられちゃんじゃあるまいし、そんなポンコツしないよ〜。ほれ、いっちに〜さんしっ」


 余裕の笑みを浮かべて体操を再開するきうい姉。

 ライバース勢揃いアクリルスタンドは数量限定特典であり、ライバーの私達でも裏ルートから手に入れることは出来ない。彼女もおそらくコレを狙っているのだろう。


 が、私がルールを守って正々堂々挑んでいる中、抜けがけで楽をしようという魂胆は気に入らない。


「もしもしー、マネージャーさん? きういさんがきぐるみつけずに準備体操してるんですけどー……」


「ちょっ! あられちゃん密告しないで──って、えぇ!?」


 きうい姉が、こちらに一斉に向かってくるスタッフ達を見て驚きの声を上げる。

 マネージャーから会場に情報が素早く伝達されたようだ。集まってきたスタッフ達が躊躇無くきうい姉を羽交い締めにする。


 わお……流石ライバース、迅速な対応だ。


 きうい姉は必死にもがいてその拘束を解こうとするが、スタッフ達は一切力を緩めることなく、彼女をスタッフルームへ連行しようと引きずっていく。


「ぬおおぉはなじでぇーー!! わだじのアクスタがぁぁぁぁぁ……んぐぅ!?」


「なに声出してるんですか!! ライバース辞めたいんですか!?」


「んもぐもぅ〜!!!」


 きうい姉は、有能なスタッフ達に口を抑えられて、声にならない断末魔を上げながら消えていった。

 きっとあれからキツいお説教があるのだろう……ナンマンダブ。


 とは言いつつ、きうい姉は本来リスク管理のしっかりとしたライバーだ。その彼女があんなずさんな行動を取るなんて……アクスタの力、恐るべし。


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