#120.私達はステージに降臨する
「……いててて……み、みんなこんあられー!! 甘姫 あられでーーすっ!! 3Dどうですかぁー?」
コメント
:可愛いよぉーーー!!!!
:うおおぉぉ!!!
:動いてる……動いてるぞあられぇ!!
:髪ふわふわしてるぅ〜かわええ!!
:かわいい!
:衣装完璧!!
:せっかくの3D衣装なのに開幕コケてすぐ衣装汚すのあられっぽくて好きw
:変わんねぇな……(良い意味で)
あられさんがそのぽんこつっぷりを開幕から見せつけているのを見て、まだスタジオに足を踏み入れていない私ときうい先輩はお互い目を合わせて微笑む。
あられさんはこのライブが3Dお披露目でもあるため、あられファンに3Dの姿を思う存分に見せつける時間が設けられているのだ。
私達は彼女が呼び込む形で入場することになっている。
……あられさんは凄い。
歌やダンスの経験も、VTuberとしての歴も私の方が多い。でも、彼女は凄まじい速度で成長して、VTuberの方では私のチャンネル登録者数48万人も越してしまっている。
振り返ると、彼女と出会ってすぐの頃、心のどこかで嫉妬していた節もあったかもしれない。でも、彼女はずっとこんな私に優しく接してくれて、時にとても頼りになって、それでいてやっぱりぽんこつで。
そんなあられさんの姿を見て、愛らしくて、面白くて、嫉妬のような暗い感情もすぐに消えてなくなっていった。
「それじゃ、今日のメンバーをよんでいきたいと思いまーす!! まずは、きういさーん!」
「はーい、うぃ〜す! きういのご登場だよぉ〜!」
「そんなあいさつあったんですねー、はつみみです」
コメント
:うぃ〜す!!
:うぃ〜す!
:年に数回しか挨拶しねぇからなwきうい姉
:公式配信とか案件配信でしか挨拶しないイメージ
:草
:きうい姉っぽいな
このライブは、あられさんにとって初の3Dライブだ。きっと大切なものであるし、良いライブにしてあげたい。
それに、もしライブが大成功して楽しんでくれたら、正式にライバースに入ってくれるかもしれないし……ライバースにあられさんが居てくれると、凄く嬉しいし……
とにかく! このライブは良いものにしたい……!
「それじゃ、つぎはぁ……すぴかさーん!」
「は、はい!」
コメント
:うおぉぉぉぉ!?
:すぴすぴ〜!!
:いつになく良い返事!!
:これは挨拶期待できるか〜?
:挨拶不発に1000円
:俺も
:ワイも
う、うわぁぁぁ……! すごい人……!!
私は目の前のモニターに映し出された数多の観客に、一瞬気圧されてしまう。
今までライブのトリなんてしたこと無かったし……まさかここまで沢山の人に見られているなんて……!!
コメント
:すぴすぴ〜!
:あれ? なんかすぴすぴ雰囲気変わった?
:なんだよそれw
:なんか今日のすぴすぴ可愛い
:いつもだろ!!!!
:草
:なんかすぴすぴの体がいつもよりでっかくみえるぞ!
:堂々としているような……
:ほうほう……言われてみれば確かに
:……太ったのか、すぴすぴ
:そうじゃねぇだろwww
:草
今までずっと出来なかった挨拶をビシッと決めて、あられさんや応援してくれるリスナー達に、私が変わったって所を見せるんだ!
私は意気込んで息を吸い込むと、大きく口を開け──そのままパクパクと動かした。
コメント
:挨拶くるか!?
:ワンチャンあるぞ!!
:念願の!
:期待してもいいのか!? すぴすぴ!!
……嘘、なんで……?
声が、出ないっ……!!
***
第百二十話読了ありがとうございます!
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