表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/188

#109.彼女は失踪する

 

 8月8日。

 すぴかと仲良く展示会デートをして親睦を深めたその日から今日17日まで、すぴかは何らいつもと変わりない様子であった。

 いや、少し気がかりな所はあったのだが……


 あの展示会で得たモノを成果に繋げるべく、私はライブステージに向けてより一層力を入れた。


 まず、"導線"の導入。

 ライバースは、何よりも演者を優先してくれる。ライブの演出であっても、スタッフが独自に制作するのではなく、出演するライバーの意見や発想を基に制作してくれる。

 その為、自分好みにライブを装飾出来る代わりに、手を抜くと何ともみすぼらしいライブになってしまう。


 きうい姉とすぴかは、私に一定の信頼を置いてくれているのか、このライブ演出の監修を私に一任してくれた。


 そこで、ウォルフ・ライエのライブシーンを探し出し、研究と分析を繰り返すことで、どうにか2次元のライブに落とし込めるよう尽力を尽くした。


 ちなみに、超高額なプレミア価格の付いたウォルフ・ライエのライブ映像を数本購入したことで、配信で得た収入の大半が消えてしまったのは……まぁ、ライブを良くするためと思えば安い、もの、だ……


 この肉を切らして骨を断つ戦法が功をせいして、"導線"の演出への導入は中々順調に進んでいる。


 だが、こちらが順調に進んでいる一方、すぴかの件の解決はあまり成果を果たせていなかった。


 以前とのきうい姉との衝突。

 あの直後はお互いに気まずい雰囲気があったが、幸いなことにそれは自然と蒸発していき、やがて私の練習時のマインドが変化していった。


 それまでは、皆に迷惑をかけないように、皆に追いつこうという心意気で練習してきた。

 しかし、それでは幾ら頑張ろうと、きうい姉やすぴかと同じ場所にしか到達出来ない。

 きうい姉の言葉でそれをより実感した私は、"迷惑をかけないように"から"自分がこの中で一番目立つように"へとエゴ的心理に変化させた。


 これにより、ダンスや歌の上達がはやくなっただけでなく、お互いの空気を読んだ陳腐な集団的パフォーマンスから、己の個性を全面に押し出す貪欲な個人的パフォーマンスに進化を遂げ、それによって技術や経験を超える"感情(エゴ)"という色が出てくるようになった。


 パフォーマンスとは、感情のぶつかり合い。己の持つ武器をふんだんに利用して向かい合う戦。

 観客を熱くするには、パフォーマーはその10倍熱く燃えていなければならない。


 この真理に基づいた練習により、私達のパフォーマンスのクオリティーは当初と比べ物にならないくらい向上した。

 が、それによる弊害も、勿論発生した。


 私ときうい姉は、初コラボの時に行ったように、己の個性を全面に押し出し、相手を喰らう勢いでパフォーマンスを行うことが出来る、むしろその方式を得意とするタイプの演者である。

 が、無論その方式に慣れていない演者もいるわけで。


 すぴかにとっては、このやり方こそ一番に苦手なやり方だった。

 それにより、私ときうい姉の急速な成長に追いつけなかったすぴかは、ユニットの中で一番の技巧派というポジションから、ユニットのミスを誘発する足枷のようなポジションにまで下落してしまった。


 そして昨日。

 あまりにもミスを連発するすぴかに、コーチは居残り練習を命じた。

 そして、彼女は失踪。


 恐らくすぴかが姿を消した原因は、この居残り練習であろう。


 隣で腕を組むきうい姉は、少し後ろめたい表情をするコーチを前に口を開いた。


「ちょっと話を聞いてもいいかな? コーチ」


 現在の登録者数:481,481人(140人up⤴︎︎︎)


***

第百九話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


あなたの意見を聞かせてください!お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ