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#107.ジャーナリストは胸を張る

 

「すみません、少しお時間よろしいですかね?」


 ……くっ!!


 了承する間もなく向けられるカメラ、近づくマイク。


 あまりにも強引すぎる!! こんなの何らかの法を犯してるでしょ!!!


 何だか最近、起こるアクシデントの危険度がドンドン増している気がする。遂にVTuberの女神に見放されてしまったのか。それとも、話すネタが増えるのだから逆に愛されているのか。


 私の顔はもう既に全世界に放映されてしまっているが、幸いなことにすぴかは顔を伏せているので映っていない。

 このまま取材NGを伝えて断りたいのだが……普通に喋っては身バレするリスクが圧倒的に高くなる。


 え? ただ声が少し乗るだけじゃバレないって? 自意識過剰だって?

 残念だったわね! 昨日の配信で"明日すぴかと展示会に行く"って言っちゃったのよ!!


 ……はい、すみません。何も考えずにペラペラと話してた私が悪いです。何だか"ぽんこつ"キャラを演じている内に、本当にぽんこつになっているような……


 が、そんな事今はどうでも良い! 過去の話をしても仕方がない!! それに安心して欲しい。この危機から逃れられる策はもう思い付いているのだ。


「お二人はやはりアイドルがお好きなのでしょうかー!」


「……」


「……えーと、可愛らしいお顔をしていますから、もしかしてアイドル志望だったり?」


「……」


「よろしければ、この展示会の感想を頂きたいのですがー」


「……」


「というわけで、現場からは以上です! スタジオにお返ししまーす!」


 無言!!!

 別に複雑な論理などない! 声を出してはいけないのなら、ただ単に声を出さなければ良いというだけの話!!!


 というわけで、無言のまま笑顔でカメラを見つめているうちに、取材を終わらせることができた。


「ちょっと何考えてんスか! こんなの放送事故ッスよ!!!」


 中継が終了すると同時にスタッフらが揉め出す。まあ当然のことだ。昼帯の地上波でこんな放送事故、即クビを跳ねられてもおかしくない大失態だ。


 スタッフらの非難の声は、この強引な行動の首謀者らしき女性に集合する。が、その女性は余裕の笑みで何故か胸を張った。


「ご協力ありがとう! これで私もこの業界で返り咲ける!! さあみんなぁ! 今夜は蟹よ!!!」


「はぁ!? 返り咲くどころか俺らまとめてクビっスよ!!!!」


「はぁ、あんた達は何も分かってないわねぇ……まぁ見ておきなさい!」


 そうして怒鳴りあいながら、彼女らは去っていった。


 ちなみに、後日この放送事故が話題になり、私は"沈黙の姫サイレント・プリンセス"としてネットミーム化を果たしてしまった。その一方、視聴率はあの一瞬で急激に上昇したらしく、あのジャーナリストはレギュラーに抜擢されていた……あのジャーナリスト、なかなか凄腕なのかもしれない。


 そして時は夕暮れ。

 私とすぴかは展示会を無事堪能し、人気(ひとけ)のない公園で二人黄昏ていた。


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***

第百七話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

・はやく続き読みてぇぇぇ!!


と感じましたら、良ければブックマーク登録、感想、評価★★★★★よろしくお願いします!!

面白くなければ、★☆☆☆☆でも構いません!!


また、特にお気に入りのエピソードに《いいね》して頂けると、分析時や今後の方針を決める時にとても助かります!!


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