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#103.星は時を越えて輝く

 

 地下アイドル"ウォルフ・ライエ"。

 このグループは、地下アイドルどころかアイドルすら詳しくない私でも知っている、とても有名なアイドルグループである。


 ウォルフ・ライエとは、元来は星の一種で、表面温度は30,000 Kから100,000 K、光度は太陽の3万倍から100万倍にも達する青色の巨星のことである。

 この分類の星の大きな特徴は、その表面温度だ。星の中で随一の高温を誇り、この世で1番熱い星と言われている"WR(ウォルフ・ライエ)102"も、その名の通りこれに類している。


 初めてこのグループの名前を聞いた時、なかなかにセンスの良い知識を持っていると感心したものである。


 私(と私の背にしがみつきながら、覗き込むようにして展示を鑑賞するすぴか)は、ゆっくりと館内を回った末に、どうやら最後らしいウォルフ・ライエの展示エリアに辿り着いた。


 すぴかは入場特典の件の通り、ウォルフ・ライエというグループが特に好みなのだろう。

 他のエリアでの鑑賞時は、周りに迷惑にならない程度にブツブツと念仏のような分析文句を唱えていたが、このウォルフ・ライエのエリアに着いた途端その声が殆どなくなった代わりに、ひとつの展示物にかける時間がうんと長くなった。すぴかが私の背からひょいと出すその表面積も、どことなく増している気がする。


 私は移動中、展示物の合間合間の壁に記されている説明文にちらりと目を通す。そこには結構驚くことが書いてあって、そのひとつを挙げるなら、実はアイドルグループ"ウォルフ・ライエ"はすでに解散しているらしい。


 この展示会は地下アイドルの伝説を築いたグループの展示であるから、勿論その中に現在活動していないグループがあることは何ら不思議では無い。

 が、"ウォルフ・ライエ"が私の生まれる前に既に解散していたことは、とても驚いた。


 このグループの名前を私が耳にした時は確か小学校高学年の頃。その時の名の広まり方は、"昔にとても人気だったアイドル"のものではなく、"今まさに勢いのあるアイドル"のもののように感じられた記憶がある。


 これはつまり、この伝説的グループが、解散してから十数年の間色褪せずにブレイクし続けていた、ということだ。


 何とも恐ろしい。おもしろい。

 そして、私も何か得ることがあるに違いない。


 そう思うと、この先の展示が格段に楽しみに感じられた。


 私はライブステージの写真を前に、すぴかがようやく出していた頭を背の陰に引っ込めるのを確認すると、次の展示物へと歩を進める。


 次は、映像物のようだった。

 一角にモニターと複数個の椅子が用意されている。


 映像系は権利の都合で展示しにくいと思ってたけど……これまでの展示でも映像系はなかったし……


 私は少しワクワクした気持ちを胸に秘めて椅子に腰を下ろす。


 ……さあ、待ちに待った伝説的アイドルグループ"ウォルフ・ライエ"のライブステージ、どんなものか見せてもらおうかしら!


「あの……みぞれちゃん……私、すこしトイレ……」


「え? ひとりでだいじょうぶですか?」


「は、はい……何とかします……」


 私が息巻いて画面に目の釘を打ち付けるのと正反対に、すぴかはまるでライブシーンを()()()ようにして、その場からゆらゆらと立ち去って行ってしまった。


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***

第百三話読了ありがとうございます!


・面白いっっっ!!

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