#101.親睦切符は湿っている
「はい、これあげるよ!」
「……?なんですか、これ?」
ユリ神が差し出してきたのは、短冊状の2枚のチケットだった。真ん中に大きく"アイドル達のキセキ"と主題が書かれており、その周辺に個性豊かな衣装を着たアイドル達が並んでいる。
「あられちゃん、すぴすぴのこと知りたいって言ってたからさ。あの子、普段は大人しいけどアイドルのことになるともうすっっっごいから!」
「すぴかさん、アイドルすきなんですか?」
ユリは首をコクコクと激しく動かして同意する。
なるほど、だから一緒に行って親睦を深めてこい、ということか。
ユリ神……さすがに優しいがすぎる……!!
「すぴすぴってあんな感じだから、私達同期でさえ遊ぶの誘うのに苦労するし……でも、良い子なのは間違いないから、一緒に行ってあげてくれたら嬉しいなー。いくら腰の重いあの子でも、アイドルのことなら断りはしないだろうし」
「任されました! ありがたくちょうだいいたします!」
私がそれを両手で丁重に受け取ると、あまりの仰々しさにユリ神はクスッと笑った。
ありがたやーありがたやー……ん? このチケットちょっと湿っているような……まあいいか。
「ユリ神──じゃなくて、ユリせんぱい! 本当にありがとうございますっ!!」
「神……? ま、まあいいか。それよりも……あられちゃあーん♡」
一瞬だけ怪訝な顔をしたユリだったが、すぐに色を変えてニヤケづらになる。
「あられちゃあ〜ん、このチケットを受け取ったからには、分かるよね?♡」
「え……えと……?」
「さっ♡ ベッドいこーかー」
「うぃっ!? ……いやあああぁぁぁぁ!!!!」
……まあ、この後の話はまた別の機会にするとしよう。
というわけで、私は8月一杯まで開催されている地下アイドルの展示イベント"アイドルのキセキ展"にすぴかを誘い、無事今日に至ったというわけだ。が……
会場に着くまでの道のり、夏休みといえど平日なので、そこまで人通りは多くないが……さっきから度々すれ違う人達の視線を感じる。
原因は明白。
「あ、ああのーぼっちちゃん……そそその、背中にくっついてふるえええるのやめてくれませせんかぁ? 背後霊みたいになっててて……」
「すすすすすみませんみぞれちゃちゃちゃん……ででももも人目が気になってててて」
すぴかが自身のバイブレーションによって声を小刻みに震わせる。
やめてくれないと、振動が背中から伝わって私の声も震えてしまうのだが……
この百足競走スタイルでのっしのっしと歩くこと数分、私達は展示会の会場に到着した。
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