#95.彼女は平常に興奮する
少し遡って、チカはベッドにダイブ、私とユリは予め敷いておいた2枚の布団の枕元にマイクを置いてそこに寝転がり、いよいよ寝落ち雑談が始まった。
私達の声はマイクからPCを経由してチカのスマホに届き、チカの声はチカ自身のスマホから私のPCに、そして私達が片耳に装着しているワイヤレスイヤホンに流れる。
勿論PCを経由した音は全て配信に載る為、リスナーには私達3人の声が正常に届くという仕組みになっているのだ。
「あられちゃん、明かり消すね〜」
光が弱まる二段階の過程を終えてようやく真っ暗になった部屋で私は仰向けになり、少し不思議な雰囲気にソワソワしながら話題を振る。
「……な、なんかこれが配信されてるってへんなかんじですねー。ユリせんぱいはもう慣れましたか?」
「そうだね〜。多分十回はやってるからね、寝落ち雑談。でも、こうやって女の子と一緒に寝るのは、どうしても変な気分になっちゃうよね〜」
コメント
:草
:ユリたそのそれは違う意味だろw
:発情期か?
:草
:平常運転だろw
:さすがユリたそ……今宵も綺麗な百合の花を咲かせてくれますのね
:草
「ユリたそとあられちゃん……女の子が暗い部屋で二人きり、何も起きないはずがなく……はぁぁ♡ 想像しただけでヨダレが……♡」
コメント
:え……?w
:草
:ヨダレってwww
:もしかしてチカちゃんってやばい人?w
:あられの友達……やばくない訳がなかったか……
:類は友を呼ぶとはまさにこのこと
:草
「ちょっとチカ! ただのお泊まり会だからね!」
……ったく、配信で少しは緊張するのかと心配していたら、全然平常運転じゃないか。今4万人も見てるんだぞこの配信。
「チカちゃんはVTuber好きなの〜?」
「は! はははははい!! だだだいすきですー!!! も、勿論、花陽芽 ユリたそも拝見しておりマス! この前の3Dライブ良かったです!! スパチャも送らせてもらってます!!」
「へ!? あぁ〜! ありがとぉ〜よく知ってるねえ〜」
「はいもちろん! 選曲神すぎましたし演出が3Dお披露目配信のオマージュになっていて衣装も超エッチくて可愛かったし特に太ももがめっちゃ良くてあとちょっと見えたタトゥーシールがデビュー直後の配信マークになっててそれに──」
「あ、あぁ〜、ありがとう……くわしいねぇ……」
コメント
:ガチオタでワロタw
:ユリたそ若干引いてて草
:草
:急に早口w
:タトゥーのやつ言われるまで気づかなかったんだけどw
:草
:ユリたそ単推しの俺が知識で負けた……?
:なんで一般の友達がこんなにキャラ濃いんだよ!
:ユリたそと話せてるの羨ましいなぁ
チカの踏みっぱなしのアクセルに一瞬はたじろいだユリだったが、すぐに体勢を立て直してその知識に感心しながら話を続ける。
「そこまで詳しいなら、もしかしたら名前知ってるかもしれないなぁ。スパチャもしてくれてるなら尚更。アカウント名なんて言うの? 勿論言える範囲で良いけど……」
この展開……配信者に名前を覚えてもらえる──俗に言う"認知"をしてもらえるチャンスだ! と息巻くチカの姿が脳裏に浮かぶ……
そんな私の予想から外れることなく、チカはフンスと興奮の息を漏らした。
「アカウント2つ持ってるんですけど、スパチャを送ってる方は"チカ・フランソワーズ"って名前でやってます!!! 認知よろしくお願いしマス!!!」
コメント
:え?
:え……
:まじ?
:え??
:え!?!?
:ガチィ!?
:草
:神回やんw
:フラソワ!?
:本物!?
ん? ……コメントは直接見えていないのだが、何だか変な予感が……
私のその予感の解答は、ユリが大音量で教えてくれた。
「も、もしかして! 石油王のフラソワさん!?!?」
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第九十五話読了ありがとうございます!
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