#92.花嫁は立候補する
「そろそろひらきますね?」
隣の彼女がコクリと頷いたのを確認して、私は画面を切り替える。
「みんなーこんあられー甘姫 あられでーす! ……そして!」
コメント
:きちゃあ!!
:きた〜
:こんあられー!!
:きたー!!
:こんあられ〜
:コラボだあああ!!
:そしてー!
「ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し? あなたの花嫁に立候補! ライバース5期生の花陽芽 ユリで〜す」
「わぁー! ユリせんばいにきていただきましたぁー!」
コメント
:ユリたそぉ!!!!!
:わぁー!!
:俺の嫁がお世話になります
:俺のですが?
:いや、俺のだが?
:僕のだぞッッッ!!!
《鬼透 きうい》:先輩呼び……? 私はさん付けなのにっ……!
:草
:草
:きうい姉もよう見とる
:やはり威厳の違いか……
:ユリたそも威厳ないがな
:草
きうい姉……先日の説教(?)のせいでまともに笑えないのだが……まあ、今はそんなことよりも、だ。
画面の左側で桜色のショートカットをゆらゆらと揺らす花陽芽 ユリ──彼女こそが、本日のコラボ相手である。
自分から心を開きそうにない奥手な目標のことを知るには、まずはその友人から攻めるのが定石である。そうすることで、目標のことを知りつつ、友人づてに接触を計ることもできる。
さらにこの場合は、本当に"敵"として人気投票を争うことになるユリのことも知ることが出来るので、実に一石二鳥なのだ。
花陽芽 ユリ。
お嫁さんになる、という幼い頃からの夢を未だ忘れない純真な女の子。夢を叶えるために花嫁修業の一環として配信を行っているが、未だその道のりは遠い。
とライバースの公式サイトには書かれてあった。
まあ、彼女が何食わぬ顔で事務所を全裸徘徊していたことを私は知っているのだが。
やはり、設定はとこまでいっても設定というわけだ。
「あられちゃあ〜ん、いつかコラボしたいと思ってたんだ〜だから誘ってくれて嬉しほんとに嬉しいよー!」
コメント
:草
:なんかねっとりしてない?
:言い方がw
:草
:セクハラですよ?
「名前呼んだだけじゃん!?」
「あはは……」
ややきうい姉と同じ波動を感じるが……まあいい。
このコラボ配信は、ゆくゆくはすぴかのことをより知るため、そしてまずはユリのことをよく知るための配信だ。
とは言っても、自己紹介やら食事会やら悠長にやっている暇はないので……配信者としての本質が見える手っ取り早い方法をとることにした。
「じゃあユリせんぱい! きかくのコールおねがいします!」
「は〜い! 今日の企画はぁ〜……"寝落ち雑談"!!!!!」
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