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#86.日記 その1

 

 突然だが、ライバースという新境地で活動するに当たって、毎日日記をつけることにしようと思う。

 この1ヶ月間が私にとって特別なものになるのか、あるいは日常の始まりになるかは分からないが、何かしらの役には立つだろうから、出来事や思ったことをここに記録していきたい。



 7月25日


 本格的にライバースでの活動が始まった。

 とはいっても大部分は自由時間なので、新たに開始されたのはライブのレッスン位である。


 午後1時前にレッスンルームに呼び出されそこへ向かうと、女性が4人、そのうちコーチらしき人物が2人、残りはきうい姉とすぴかであった。

コーチのうち若い方は名を"萩原(はぎわら)"と言うそうだ。


 その萩原コーチによると、私達3人でユニットを組むことになっているらしい。

 数は多いとは言えない……が、文句を言う暇があるなら対抗策を考えるべきである。


 8月末のライブフェス──ライバースサマーライブフェスは、24日・25日の2日にかけて行われるかなり大規模なイベントで、ライブステージの他に屋台、展示、フォトスポット、トークライブ等、様々なアトラクションが用意されている。


 目玉のライブステージは2日共に夕方頃に開始される予定で、私はこのライブで人気投票1位を取らなければ、ライバースに加入する権限を失ってしまう。


 集まる票数には演目の時間帯も勿論関係してくるのだが……私達のライブは1日目の最終演目を任された。

 つまり、トリである。

 これは上々ではある。投票は2日目のライブ演目が全て終了してから開始される為、1日目は圧倒的に不利である。が、その1日目の中では最適な順番。つまり、上々である。


 あと考慮するべきこととすれば、ライブの完成度だが……まあ、ライブステージの映像は収録だろうから大丈夫だろう。


 と、私は高を括っていたのだが、コーチの概要説明で、ライブが生放送(ライブ)であることが発覚した。

 更には、本当のアイドルのようにリアルタイムで歌って踊るらしい。


 VTuberのライブは仮想空間(バーチャル)である以上、スクリーンやモニター等のディスプレイを介して行われる。その為、ライブと言いつつ歌声を加工し、ダンス映像と貼り付けて放映する、なんてことができる。何ならダンスさえ自身で踊る必要もなく、プロに任せておけば、究極は歌うだけで収録を終えることが出来るのだが……


「私はあなた達をVTuberとしてではなく、アイドルとして厳しく指導していきたいと思っているわ。覚悟しておいて!」


 と、熱血そうなコーチが言い放った時は軽く絶望した。

 ちなみに、この熱血派の萩原コーチは新任だそうで、もう一人の優しそうなコーチが退職する為、それの引き継ぎらしい。つまり、私達の練習を請け負うのは、この熱血コーチという訳だ。


「……もう1か月経ってから退職してよぉ〜」


 と、私が心の中に収めた声をコーチの目の前で堂々と口にしたきうい姉は、個人の練習メニューを2倍にすると宣言され絶望していた。


 ちなみにすぴかはと言うと、初対面の熱血コーチに一切コミュニケーションを取る事が出来ず、何度も気絶して倒れていた。


 ……このユニット、大丈夫か……?

 

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