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19.サマンサと雄介




そわそわと落ち着かない雄介に苦笑いのオーエンリッヒ、我関せず、のような顔をして入口を陣取ったイアン。

カロンも首を傾げながら、オーエンリッヒに勧められて椅子に座る。

そろそろとテーブルに置かれた小瓶に二人はますます首を傾げた。


「なんだいこれ?」


サマンサが小瓶を持ちあげてしげしげと観察している。


「綺麗だけど、不思議な色ね。何かの薬かい?」


「それサマンサさんに」


どうぞどうぞと勧める雄介に困惑気味のカロンが口を開いた。


「いや、なんか貰ったばかりだろう?ほしつ液だったか、これは一体?」


「欠損部位回復薬、いや、まあある意味万能薬じゃな。」


「「は?」」


オーエンリッヒの言葉に夫婦は同じ顔で首を傾げた。

サマンサがそっと小瓶をテーブルの上に小瓶を戻すと、がたりと椅子を鳴らして立ちあがって体を引く。

同じ動作をカロンも静かに行うと二人は体を寄せ合って距離をとる。


「ええ!?なんでですか!?」


それに雄介はショック!と言わんばかりに悲鳴を上げる。


「ほれ、これが一般的な反応じゃわい。」


けけけと楽しそうなオーエンリッヒに雄介がむっとしてオーエンリッヒを見る。

そもそも値段も付けれないような高価なものをぽんと渡されて、平然としていられるわけがない。

その辺、イアンはちょっとずれているようだ。

至極不満げな雄介に満足げなオーエンリッヒはまあまあと夫婦をなだめると、席に着かせた。


「正直の、わしもどうしたもんかと思うとる。が、このままずっと存在しとるより飲んで無くなった方が安心じゃと思う。と、言う事で、ほれサマンサいっきじゃ。」


「何言ってんだい!!そんなのおいそれと飲めるもんかい!!」


引きまっくているサマンサに雄介は崩れ落ちた。

そんなあ・・・と小さなつぶやきをこぼす雄介の頭をローエンが小さな手で一生懸命撫でている。

大げさに落ち込む雄介に、ローエンがサマンサをちらちらと見上げてくる。

横でカロンは手を組んでどこかに祈っているようだ。


「いいじゃないか、飲んでしまえば。」


そうつぶやいたのはイアンだった。

そんな兄にカロンはそういえば昔からこんな感じだったと兄に呆れた視線をよこすと、すいっとかわされる。

肝が太いと言うのもあるが、もともと好奇心旺盛、なんでもやってみないと気が済まない性分なのだ。

なまじやってしまった後にそれをどうにかする力も知恵も持ち合わせてしまったのでイアンは少しずれた所がある。


「僕は、飲んでほしいです。なんでと聞かれると困るんですけど、今のままでも十分幸せそうだし、そうなんだと思うんですけど、一個も諦めてほしくないと言いますか、たまたま僕には材料と知識があって、作ったら出来ちゃって、じゃあ好きな人の役に立てたらそれがすべてかな、って思うんです。諦めて投げ出した事全部、僕は後悔してきちゃったから、諦めないで済むなら、都合良くていいと思うんです。あれ、ちょっと何言いたいかわからなくなっちゃったけど、僕は二人にもっと幸せになってほしいです」


雄介はヘラリと笑うと、ローエンを抱き上げた。


「腹くっくて飲んどくれ。もうほんと存在してると国とか滅ぶかもしれんし、戦争とか勃発しそうじゃし、飲むまで作り出しそうで怖いんじゃよう」


「先生本音が駄々漏れしてるぞ」


「なんにも、返せないわよ」


サマンサの低い声に雄介はきょとんと首を傾げた。


「たくさんもらってますよ?」


雄介の穏やかな声に、サマンサは深く深呼吸すると小瓶を手に取った。

コルクのような蓋を抜き、一気に飲み干す。

瓶をテーブルに置くと、カロンがサマンサを抱き寄せる。

小さな光の粒が、ふわりとサマンサの周りに舞う。

少しずつ増えた光の粒はサマンサの中へと消えて行く。

それはあっという間の出来事だった。


「きれいねえ」


「綺麗だねぇ」


ローエンの無邪気な声ににこにこの雄介が答える。


「どうじゃ?」


「特には、体が少しぽかぽかするくらいかしら?」


オーエンリッヒはざっと体を確認するとうんと頷いた。


「問題ないの、心配はないがあんまり無茶はせんように今日は早めに休むんじゃよ」


「サマンサ、後はいいからもう休んだらどうだ?」


「何言ってんのさ、心配性だね。むしろ体が軽くて絶好調だよ。」


それを聞いて嬉しそうな雄介にサマンサはそっと抱き寄せた。


「ありがとね、」


ちょっと泣きそうな雄介にサマンサは心からのお礼伝える。

そのあと感無量のカロンにサマンサごと抱きしめられて、ローエンと三人大変苦しい想いをする羽目になった。

つぶされる前にイアンによって救い出されたローエンと雄介はほっと息をついた。

仕事に戻る二人を見送ってオーエンリッヒは雄介の背をぽんぽんと叩く。


「あの二人がお前さんを害する事はなかろう。それでも、もっと周りに気を配って用心しなさい。これからはローエンを守っていかなくてはならないし、お前さんに何かあったら周りも巻き込むことになる。肝に銘じておきなさい。」


「はい。」


神妙に頷いた雄介にやれやれと息をついたオーエンリッヒはイアンを一瞥する。


「お前さんも、もう少し気を配ってやってくれ。この子は少々どころかかなり無茶をする上に、抜けておる。」


「・・・・・・・・善処する」


「まて、その間はなんじゃ?もうすでにやらかしておるまいな?」


詰め寄られて、イアンの視線が泳ぐ。


「雄介!そこに座れ!何をしでかした!」


「な!何にもしてない!まだしてないって!」


「嘘をつけ!貴様!目が泳いでおるわ!白状せんかぁ!」





この後アーブンとの話を聞いて目を怒らせたオーエンリッヒに散々説教を食らった雄介がベットに倒れ込んだのは夜中だったとか・・・・













雄介

僕と俺がごっちゃになってたのでぼくに統一しました。

誤字脱字、文章追加などその都度行っています。




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