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一振目 自警団団長 クロアカ

予定では8~10話までやって本編に戻るか、こっち優先でやるか悩み中です。

まぁ、趣味でやってるんでご容赦を


本編22部分〖おやっさん〗ベンの部分からのリテイクのお話となります。


1 リテイク


九死に一生

彼らは願う。自分達が全員死んでもボールマンが生き残れば、ウェンリーゼが生き残ると…

そのためならば、例え自分が九回死んで一生を遂げなくてもかまわないと


シュパッ


一、二、三…七、八


死神は鎌を八回振るう。

武神と大神は神話の時代よりその鎌を止める権利を持たない。

しかし、その鎌は些かキレが悪そうだ。どうやら、死神ですら鎌を止める権利を持っていないようだ。




2

ウェンリーゼ沖合い シーランドより一キロ地点


「年功序列じゃ、小童ども。ワシが先に行こう」

ベンは昔から一番風呂が大好きだ。家長としてここは譲れないらしい。

「そうはいきやせんぜ、おやっさん。これはまず自警団の管轄ですぜ。自警団団長として【切符()】斬ってきてやりますよ」

クロは譲らない。どうやら、クロはベンに借りを返したいらしい。

「まだ五十そこそこの小僧っ子が何をいっとるんじゃ」

「そうはいいますが、一番乗りはまずあの海蛇を【プッツン】させなきゃ引き付けられませんぜ。任して下さい。ガキの頃は、鬼ごっこ(盗み)で負けたときはないんでさぁ」

とても自警団団長の言葉ではない。

「しかしのう」

「ベン行かせてやれ、確かに、役職からいっても適任だ。それに止めても先走るんだろう」

シロはベンを止める。育ての親を止めるのは当たり前だ。

「それに、ベンでは蚊蜻蛉に乗っても足が遅い。初手は海蛇を逆上させて、我々に注意を引き付けるのが役割だ。作戦の成功率を考えればクロが適任だ」

シロは作戦の成功率をあげるために、いつも無常で非常だ。

「上等じゃねぇか、ウェンリーゼの切り込み隊長の腕っぷし、蛇野郎に見してやろうじゃねぇか」

クロは()()は小さいが八人の中でも気持ちは一番デカイ。

「クロ、餞別だ持ってけ」

レツがクロに銛を渡す。

「おう!コイツは〖ガングニル(玩具似る)〗じゃねえか!懐かしい、飯食えねえときはよくコイツでよく魚を刺したもんだぜ」

クロにとっては、懐かしの使い慣れた玩具の銛ようだ。

「シロの付与付きだ。一発だが、中~上級魔術の《雷撃》が付与してある。ここぞという時にかましてやれ」

「へっ!玩具にしちゃあ、上等じゃねぇか。ありがたく貰っとくぜ」

クロは玩具を相当気に入ったようだ。

「クロアカ…」

シロがクロにいう。

「ちゃんと返せよ(帰ってこいよ)

「へっ!行ってくるぜ、兄貴(シロ)

クロアカは、蚊蜻蛉に乗って海へ出た。

その手には兄弟の想いが詰まった〖ガングニル(グングニル)〗を携えて…

古来より、【駐車違反(ならずもの)】を取り締まるのは自警団の仕事なのだ。






クロアカは、夢をみる


四十数年前、ウェンリーゼ領地


「こんの(カブトアカ)が、魔獣ごときが人種様を喰おうなんてどういう了見だ」

ベンは、猪魔獣の長に得意の拳骨を食らわす。

「ブギィー」

猪魔獣は、腹も膨れていたのだろう。ベンを一睨みして、去っていった。

昔から、魔獣にすらウェンリーゼの守護神の拳骨は、死神の鎌より恐ろしいようだ。

「おっちゃん、おっちゃん、コイツまだ息があるよ」

シロは、無惨にも食い荒らされた死体たちから、幼子をみつける。

「なんと〖奇跡〗じゃ。どれ、坊主、大丈夫かぁあああああ」

「フシュー、フシュー、フシュー」

小僧(クロ)は泣きながらベンの右腕に噛み付く。まるで魔獣だ。恐怖と混乱で、興奮状態なのだろう。当たり前だ、目の前で家族を喰われたのだから…

「コイツ、おっちゃんになにするんだ」

シロがクロを殴ろうとするが、ベンの大きな手に遮られる。

「坊主、すまんかったなぁ、すまんかった。おっちゃんがもう少し早く来てればなぁ…すまんなぁ、すまんかった…」

ベンは、顔をしわくちゃにしてクロを抱き締める。その【ハグ】は、大きな体に不釣り合いな位にとても優しい。

「フシュー、フシュー」

ベンの右腕から血が流れる。真の〖浜っ子〗はそんなことは気にしない。むしろ〖男の勲章〗だ。

どのくらい、優しい【ハグ】が続いたのだろう。二人は体の熱と、互いの()の痛みを分け合い…

「フシュー、」

そのままクロは気絶した。

それからクロことクロアカは、この理想郷で夢をみる…




「へっ!こっちだウスノロ」

シーランドが蜻蛉(獲物)を睨みながら、追ってくる。

後ろからは、 初級魔術《水球》の雨だ。海の竜の怒りは、初級魔術であるがその威力はすでに人種の発現する中級魔術すらも凌駕する。その海中の〖魔力粒子〗を味方につけた怪物は、尽きることのない無尽蔵の魔力を惜しみ無く発現する。人種であれば、とっくに魔力枯渇している。

クロは、その小さく柔らかな体を巧みな重心移動によって、〖蚊蜻蛉カスタム〗を自分の体の一部のように扱う。シーランドが迫ってきたここ一番で、魔力を【ブースト(アクセル全開)】させ付かず離れずの距離を保つ。

掛け値なしに、彼の技術は大陸一であろう。

風が吹き、波は揺れ、魔力は流れる。だか、故郷の風と波は〖浜っ子〗の味方だ。

「スゲーなあいつ、全然当たらねえ」

射撃の名手である狩人のジョーすら、驚愕だ。

まるで、嵐のような複数の《水球》がクロを襲う。だが、あたらない。 水しぶきが海に舞う。《水球》は蜻蛉に当たらない。シーランドの怒りは、海に吸い込まれていくようだ。

「クロは、真っ直ぐ逃げてる訳じゃない。シーランドにも気付かれない程度に、ほんの少し斜めに【スライド】しながら逃げて、的を外してるんだ」

シロは嬉しそうだ。シロが一番クロのことを心配している。

「クロ、もういい!()()稼いだ!交代だ」

シロが叫ぶ。


目的地(生け簀)までの距離、残り3300メートル


「【ノルマ】達成か!」

クロは前方の船にいるベンを、シロを、皆を見る。クロの一つ目(独眼竜)が光る。

「わりぃ、おやっさん、シロ!やっぱ、逃げんのは性に合わねぇんだわ」

クロは、身体から腰を回し反転した。その【ターン】に迷いはない。

「バカが!なにやってんだ」

シロが蚊蜻蛉で海に飛び出そうとする。だか、それをベンが止める。

「可愛い()の晴れ舞台だ。邪魔しちゃいけねぇ。兄貴として、しっかり見といてやれ」

シロを止めるのはいつもベンの仕事だ。本当は、ベンも今すぐに海に飛び込みたい。ただ、この馬鹿息子の決意を()鹿()にすることがどうしてできようか…親としてクロの気持ちは誰よりも分かる。


シーランドの背鰭と両目が光る。《水球》の雨が発現する。

絶望の匂いがする。

辺り一面に、逃げ場のない絶望の雨が降り注ぐ。


だが…


「どうして、あれを避けれるんだ」

ジョーがいう。

「魔術の発現と、海面の反射を見切ってるんだ」

シロとベンが固唾を飲む。

クロはどうやらウェンリーゼの海に愛されているようだ。今日の波は非常に乗り(ノリ)やすい。

「ガラララァ」

シーランドの角が光る。

中級広域殲滅魔術《散水》がクロを襲う。その水量と威力は《水球》の比ではない。その凶悪な雨はもはや、人種の限界である上級広域殲滅魔術の部類だ。

「クロ危ない!」

シロが叫ぶ。

クロの独眼は本能的に、凶悪な雨《散水》の発現を見切っていた。《散水》の発現と同時にクロは、蚊蜻蛉をほぼ垂直に傾け、魔石の残りすべての魔力を【ブースト(フルパワーだ)】した。

クロアカがウェンリーゼの空を駆ける。

だか、シーランドがその一角で蚊蜻蛉を貫く。

「ガラララァ」

シーランドの雄叫びが海に響く。

シーランドは油断した。たかが蜻蛉を狩るのに、戯れの害虫退治に油断した。

クロアカは、決して()()などではない。


クロは、一角に貫かれて半身がズタズタだ。だか、残った半身には兄弟達から餞別の〖玩具の銛(ガングニル)〗がある。

()()()()()〗古来より神々の槍は、神さえも貫くのだから

「あばよ、オヤジども!ガラじゃねえが、冥土の土産貰ってくぜ!」

クロは、貫かれてながらも落下速度の勢いのままにシーランドの左目に銛を突き立てる。

シーランドの瞳が赤く輝く。

神々の眷属であるその怪物の瞳は物理耐性が非常に高く、傷をつけることが出来ない。

「「クロ!」」

シロとベンが叫ぶ。

クロに二人の声が聴こえたかは分からない。

クロは発現する兄の想いを…

雷撃(グングニル)


天罰降臨


天より一筋の雷が銛をつたい、シーランドの左目に天罰を与える。しかし、天罰の巻き添えを食らうのは海蛇だけではない。

ウェンリーゼの海に焼け焦げた臭いが漂う。


「これが魔術(兄貴)の力か…たいしたもんじゃねぇか…へへへ………………」


グルドニア王国歴509年

神話の時代より海に生きる怪物の瞳を盗み(抉り)とった英雄がいた。

なんてことない、ただの何処にでもいる。ちょっと血の気の多い、片目の【ちょい悪オヤジ】だ。その〖奇跡(小僧)〗はベンを慕い、四十数年間夢をみた…

そして最後に、海の王であり神の宝石()を奪う〖奇跡〗を成し遂げた。


シュパッ


死神が鎌を降り始めた…






後でルビと濁点つけますので、良かったら後で確認してみて下さい。

すみません、犬の散歩行ってきます。


いつも読んで頂いてありがとうございます。


作者の励みにや創作意欲向上になりますので、よろしかったらブックマーク、いいね、評価して頂ければ幸いです。

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