表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/29

フラグと対策

妹が邸に来た翌日、私はいつも通り書斎にいた。

妹との会話はそれなりに楽しかったが、自室同然の書斎の方が落ち着く。

ここは私の領域(テリトリー)

マリーも私が良いと言う時以外は入ってこない。


私の侍女(マリー)以外の使用人はわざわざここに入ってこないのでお互い気は楽でいい。

私がここで籠っているのがお互いのためだ。

少しネガティブになっていたが今日は趣味で来たわけではなかった。


「ご飯何食べるかわからないし、絵本選んでおかないと。後、小説のことについてもまとめておかないと」

私は呟きながら子供の成長についての本を探すと書斎の本は綺麗に整えてあるためすぐ見つかる。

直ぐと言ってもこの書斎は広く本棚同士が入り組んで迷路のようなところもあり、あくまで本が見つかるのがおそらく最短だったと言うことだ。


私は本を何冊も選び書斎に元から置いてあった机に持っていく。

本は重かったがなんとか机に置けた。が、そのせいで腕が痺れた。

重かっっった!五歳が持てる許容量を超える重さだアレは。何度も往復するのが嫌だから一度に持ってきたのに。とんだ誤算だった!はー、疲れた。


私は机とセットの椅子に座り本を開き読み始める。



大体は読み終え、少し読むのに疲れてきた頃私はノートを開いた。

気分転換も兼ねてミウナーについてもう少し整理しようと思う。

昨日会ったばかりの妹だがミウナーはいい子だったし、何より私の可愛い妹だと認識している。


呪われるフラグが何処かにあると思うのだ。

小説版ミウナーは呪われていない。ゲーム版ミウナーは呪われている。

二人のミウナーの違いを書き出していく。


まず、性格が違う。

これは当たり前といえば当たり前だ。小説ではミウナーに転生して前世の自我が勝ってしまったからゲームのミウナーとは性格が違う。具体的に言うと小説版ミウナーは何というか明るくヒロイン気質があったと思う。逆にゲーム版のミウナーは暗い、と思う。

ゲーム版のミウナーは小説にも一応話しに出てきた。

いくつもの並行世界の記憶を持つ少年に逢うシーンがあり、並行世界のミウナーについて話している場面があり少年は「並行世界のミウナーは君と全く違う」と言っていた。

つまり小説の中()()のミウナーが異世界転生者でそれ以外である、この世界のミウはゲーム版ミウナーで間違い無いだろう。

この世界線が小説の世界線でないと思った理由は私の存在だ。



次に周りの人間が一部だが違う。性格が違うことで変わったと考えられる。


ゲームのミウナーの周りには人が全く居なかった。友人が両手(右手で足りるけど予備として左手)で足りる前世の私以上にいなかったのだと思う。

これはある意味仕方なかったりする。

黒髪は周りからしたら畏怖の対象。近づきたくないのだ。

だが、小説のミウナーは友達どころか恋人ができた。

これは、何が違うんだ?

友達の出来方恋人の出来方もわからない私には何で友達が出来るのかがわからない。

普通にしてたら周りが寄ってくるとか言うリア充は滅べばいいと思う。


…感情的になってしまった。今は冷静に分析しないと。


ミウナーの場合黒髪だから周りは元から寄ってこないのだ。

でも、小説版のミウナーは同じ条件だが恋人ができるのだ。

…何故だかわからない。


小説とゲームで思いつく違いはこれくらいだ。

他に違うところはあっただろうか?…思いつかない。


はぁー。しょうがない。

私はノートにメモし終え他に出来ることがないか考える。

破滅フラグ、呪いフラグはこん中にあると思うのだが解らないものは仕方ない。

それにこの中に本当にフラグがあるのかどうかも確かなことだとは言えない。

となるとフラグがあること前提、呪い回避できないこと前提で対策を立てた方がいい気がする。

大抵なことを何とかするには…お金と権力、後は武力だろうか?

この中で私が頑張れば手に入れられるものは武力。お金はグレーゾーン。

お金は稼ぐのに外出しないといけないから難しいが、私がこっそり屋敷を出れば不可能ではない。

武力は何とか独学でいけると思う。

権力は貴族制を国が採用しているからかなり無理。

因みにローレヌ家はゲーム、小説情報では伯爵位の出らしい。


とりあえず武術の教本は見つけておくか。

後はこの世界には魔法がある。それもやっておいた方がいいだろう。

武術の本を取った上更に魔法についての本も乗っける。

重い。

私はどうやら同じ失敗を繰り返してしまったらしい。

広い書斎が今は嫌になる。



私は数時間前の苦労を再度乗り越えやっとの思い机に着くとマリーとミウがいた。

「お嬢様大丈夫ですか?」

そう言って私の持っている大量の本を奪い取るように取り、持ってくれる。

「机に置いてくれるといいのだけれど。」

「わかりました。」


「お嬢様、ミウナー様が寂しがっていましたよ」

あー、今日は昨日の疲れが残っていると思っていたから会いに行ってなかったのだ。

なんか少しムッとした顔しているなと思っていたらそれか!

でも、ムッとした顔も可愛い。


「えと、ごめんなさい。ミウ」

私はミウのほうを見て謝った。

「んんー!」

まだ機嫌が治らないようだ。

「ま、マリー。どうすればいい?」

どうすれば機嫌が治るか解らないし聞いてみることにした。

「机の上に置いておられる絵本読んであげればいいのではないですか?」

マリーに言われ机の上の本を見ると子供についての本、武術についての本、趣味についての本などなどがあるがその中でも異質な本がある。


「!流石マリー。」

使用人として子供の世話もした事があるのだろう。

子供のご機嫌とりも知っているようだ。


「ごめんね、ミウ。お詫びに絵本読んであげる。」

ミウが反応する。

「読む!」

ちょろいところも可愛い。


出会って二日で姉妹仲崩壊なんてならなくて良かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ